「ぅ……ぁっ、柳くん……っ」

「……っ、どうした? 足りないのか?」

「そうではなく……んあぁっ!」

「そうか、足りないのか。俺もまだまだのようだ」

「ゃっ、ぁっ、柳くん、……あぁっ!」


柳生の下にいる柳の舌先が、柳生自身の先端を辿る。窪んだ先をくすぐられ、もはや声を我慢する気にもならなかった。

何故こんな事になっているのか。

その答えは柳を含めた彼等にある。


「柳生。柳も気持ちよくさせてやらんと可哀想じゃろ? 自分だけ良ければ良いんか?」

「それ、“紳士”としてどうなんスかね?」

「そうじゃなぁ……紳士失格、じゃろな」

「相手を満足させてこその“紳士”ですよね、仁王先輩?」


ソファーに座って、ニヤニヤとしながら見やる赤也。その隣で、同じようにベッドの上の二人の行為を見て堪能する仁王。

彼等が、そういえば二人がしてるところを俺達が見るなんて話してたな、等と言い出したのが原因だ。そしてそれに乗ったのは、柳。


「その点は問題無いぞ、赤也」


柳生自身にかかる、柳の吐息。改めて距離の近さを感じて、自身が更に昂るのを感じた。


「比呂士の痴態を見られるんだ。しかもそうさせているのは仁王ではなく俺自身……なかなか楽しいぞ」

「えー……それ、なんかムカつく」

「柳生、ヤられっぱなしは嫌じゃろ? 黙らせてやりんしゃい」


それはつまり行為を続けろという事だ。それには抵抗感があったが、現実、柳を黙らせるにはそれしかない。

柳から与えられる快感を我慢しながら柳自身を手に取ると、それを躊躇なく口にした。

行為自体は仁王といつもしている事と変わり無いのに、同じことを柳とするのはなんだか恥ずかしい。それに、どうすれば柳が感じるのかがわからない。文字通り、手探りでの行為だ。

裏筋に舌を這わせてカリを僅かに引っ掻くと、柳自身がほんの少し猛ったのが分かった。

柳が感じている。いつも冷静な、あの親友が。


「柳君……ここが、良いんですね?」


返事は無い。しかしその顔を見やれば、どこか恥ずかしげに頬を染めていた。

そこだけを攻め立ててみると、小さな喘ぎ声が聞こえてきた。今までの余裕はどこへ行ったのやら、その声を抑えようとする姿が堪らない。

気がつけば、柳を陥落させる事に夢中になっていた。


「比呂士……っ」


どれくらいそうしていたのだろうか。肩で息をする柳が、濡れた瞳でこちらを見ていた。その姿は想像以上に可愛いらしく、こうやって赤也はいつも煽られているのだろう。


「もっと……気持ちよくなりたくないか?」

「柳君……?」


何を思ったのだろう。身体を起こした柳は、柳生を優しく抱き締めた。怪訝そうにしながらも、仁王と赤也は手は出さないつもりらしい。


「ぁっ、ぁっ、柳君……っ!」

「比呂士……っ!」


自分自身と柳自身が擦れあって、上がる声を止められない。柳生を抱きしめる柳の腕は、その優しさとは裏腹に、力強く柳生を離そうとはしない。


「ゃっ、あぁぁん、っ、……ぁぁっ!」

「比呂士っ、可愛いな……お前は」

「ん……っ!」


柳の唇が柳生のそれに重ねられ、呼吸を奪われる。ねじ込まれた舌が柳生の中を這い、良いように動き回る。柳の指先が柳生の先端に触れた時、白濁が2つ、弧を描いて飛び出した。止まる事を知らず、2つの白濁は何度も何度も飛び出してくる。

何も考えられない。

気持ち良い。

唇を離した時に引いた銀糸が妙に艶っぽく、忘れていた恥ずかしさを思い出させる。

柳との行為で、イッてしまった。正直に言ってしまえば、それは想像以上に気持ち良かった。


「柳君……」

「気持ち良かったか?」


素直に頷く。疲労感から来る微睡みの中で柳にもたれかかると、柳はそっと髪を撫でてくれた。身体はベタベタで気持ち悪いはずなのに、今はその暖かさに触れていたい。


「比呂士」


耳元で聞こえる柳の低い声音が、この上なく心地好い。けれどその心地好さも、束の間の事。


「もう一戦、あるみたいだぞ」

「え……?」

「アイツ等が満足していないようだ。いや、むしろ……」


言われて、ハッとする。

そうだ。すっかり忘れていたが、見られていたのだ。仁王と、赤也に。


「火をつけてしまったかもしれないな」


恐る恐るそちらを見やれば、仁王も赤也も準備万端とでもいうように、ゆっくりとこちらに歩いてくる。ニヤニヤとした仁王と、もう余裕の無さそうな赤也が対照的で、これがまだ終わりでない事を物語っている。


「やーぎゅ」

「柳さん……」


あぁ、これは……どうなるかわからない。とりあえずただでは済まないのだろう。明日、自分は生きているのだろうか。


「仁王、赤也。久しぶりに四人で楽しむか?」

「それも良いけど……それはまた今度な、柳」

「俺は今、柳さんとヤりたいっス」

「そうか、それは残念だな。ま、楽しみは取っておくか」


そう口にする柳から、仁王に引き離された。もう無理だというのに、開かれた足の奥を指先でくすぐられる。ヒクヒクと反応したそこが、仁王を求めるのが分かった。


「慣らさんでもよさそうじゃな」


仁王がにこりと笑う。

こうなった仁王は止められないし、そそり立つ仁王自身を見てしまえば柳生だってソレが欲しくて堪らなくなる。明日どうなるかわからないが、もう覚悟だってできている。

仁王の首に腕を回すと、どちらからともなく唇を重ねる。柳とのセックスは良かったが、やはり仁王には敵わない。

柳生の呼吸に合わせるようにして仁王自身が入ってくるのを感じながら、柳生は覚えのある快感に期待を膨らませた。







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