ふと窓の外を見ると、1人歩いていくがたいのいい後ろ姿が見えた。サシャの声を背中に受けて、まじまじと目で追ってしまう。



「ちょっと、×××聞いてます?」
「芋ねー、おいしいよね」
「違いますよ、蒸かした芋です!」



サシャは馬鹿だなーなんてコニー達が笑ってるのに合わせ笑いしながら一言告げて外に出た。

木に寄りかかって空を見上げる彼をすぐに見つけた。彼が1人でいるなんて珍しい。いつもベルトルトといるのに。

何かあったのかな。別に訓練で失敗とかはしていなかったと思うけど。どうしたのかな。



「ライナー?」
「おお、×××か 」
「ごめんね、邪魔しちゃった?」
「いや、いい」



まあ、何を邪魔したわけでもないだろうけど。ライナーの横に控えめに立って同じように空を見上げてみる。何を、考えてるんだろう。



「ライナー、何かあったの?」
「いや、大丈夫だ」
「そっか」
「心配してくれてありがとう」



ちょっとだけ、心臓が大きく動いた。おかしいな、そんな、まさか。まさかそんな。でもほんとは分かってる。私はたぶんライナーのことが。

でも、これを伝えてしまう資格なんか、私達兵士にはない。いつ死ぬかも分からないのに、伝えるなんて馬鹿げた話だ。



「×××は」
「ん?」
「いや」
「どうしたの?」
「死ぬなよ」



少し、息がつまった。彼は、ライナーは何を言ってるんだ。そんなの、はいわかりましたなんて答えられるわけないじゃないの。私だけじゃない、みんな、みんな同じだよ。



「じゃあさ、ライナー」
「ん?」
「ライナーは、どこにも行かないでね」



私もまた無理なことを言ってしまった気がした。彼の顔を見上げると、どうしてだろう。目を見開いて、私を見ていた。



「ライナー?」
「あ、ああ、すまない」
「ごめん、変なこと言って」
「いや、いいんだ」
「うん」
「約束しよう」



「え?」
「約束する、だから×××も約束してくれないか」
「ん、分かった」



私の手を握った彼の手は、心なしか震えている気がした。



(どうして、貴方はこんなにも遠い壁の向こうに行ってしまうの)

2014/03/22.

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