原田×斎藤
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まだ誰もが眠りについている丑三つ時。凍てつくような寒さに目を覚ました俺は、すっかり冴えてしまった頭にどうしたものかと思考を巡らせていた。
もう一度床に潜ろうか、酒でも呑むか、竹刀でも振りに行くか……。いくつか選択肢は浮かんだがやはりこれしかないだろうと、道場へと向かうべく部屋を出た。

中庭へと差し掛かったとき、見慣れた者がそこに腰掛けているのが見えた。月明かりを受けて光る艶やかな紅い髪、見間違えるはずがない。

「左之」

「ん?よっ、一じゃねえか」

俺の呼び掛けに振り向いた左之は、俺の姿を確認するとひらひらと手を振って答えた。
座れよ、と自らが座る隣を軽く叩き促す左之に、あぁ、と答えてそこに腰掛ける。

「どうした、一も眠れなかったのか?」

「あぁ。寒さで目が覚めてしまって、素振りでもしようかと思ったのだが」

言葉を切り、空を仰ぐとひらひらと舞い落ちてくる白い氷の結晶 を眺める。

「部屋を出てきて正解だったようだ」

「あぁ。まさか雪が降ってるとはな、どうりで寒いわけだぜ」

地面を白く染めていくそれを眺める左之は無邪気な子供のようで、思わず頬を緩める。







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