土方×斎藤(SSL)
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冷え込みが一段ときつくなる12月。街行く人々は寒さに肩をすくめ、マフラーやコートに顔を埋めて歩いている。

斎藤一はこの寒空の下、サンタクロースの格好に粉して風船を配るというアルバイトをしていた。彼がいる場所は地元の中でも人通りが多く、一際賑やかな商店街だった。
斎藤が主に相手をするのは、寒さの中でも元気な子供達である。子供達はサンタ姿の斎藤を見掛けると、風船欲しさにこぞって走り寄ってきた。
暫くはバイトから帰ってくると、疲れてすぐ眠ってしまう生活が暫く続いた。



斎藤は子供が嫌いな訳では無かったが、元々控え目な性格でしかも無口な為、子供達の相手をするのは骨が折れた。子供と上手く接する方法が、よく分からないのだ。彼自身、このアルバイトが自分に向いていないことは百も承知している。

しかし斎藤がこのアルバイトを選んだのには訳があった。


(今日も…会えた…)



斎藤の顔が思わず緩む。彼の目線の先には、ある一人の男がいた。

男は他の人と同じ様に、やはり肩をすくめ寒そうに早足で歩いていく。斎藤は、その男が見えなくなるまでじっとその背を見続けていた。僅か数分の事だった。



その男の名前は土方歳三という。実は斎藤が通っている高校の教師だ。彼は、斎藤の担任でもある。

土方は、斎藤の学年ではある意味有名人だった。彼はかなり若くして教師になり、そして男にしてはもったいないくらい綺麗な顔をしていた。

がしかし、彼は顔に似合わず、とにかく気難しくて厳しい人物だった。綺麗な顔をしているのにも関わらず、いつも眉間にしわを寄せ不機嫌そうな顔をしている。

授業中ふざけていた生徒を怒鳴り散らす事も儘あり、おまけに口もかなり悪い。一部の生徒が陰で“鬼教師“と呼んでいる程である。


しかし斎藤は、そんな土方の事を慕っていた。

最初は他の生徒同様、土方の事を苦手としていて、彼が担任に決まった時には気が重くて仕方なかったのだ。

斎藤は今、高校三年生だ。この年になると、進路という将来が急に身近になってくる。斎藤は推薦で進学を希望していた。




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