土方先生はいつも優しくて、大人で…その…ずっとあんたのことが好きで…
赤く染まる頬。伏せられた青い瞳を縁取る長い睫毛。そして恥じらう表情。まさに清純で穢れていない、という印象ではないか。少し前の俺が見たら、斎藤一という生徒のこんな告白の仕方をそう感じただろう。今となっては全くそんなことはないが。
そんな俺の内心を知ってか知らずか、斎藤は上目遣いに俺を見つめる。…捨てられた仔犬かって位目を潤ませて。
「斎藤…」
「すみません…突然変なことを言ってしまって…」
「…俺の記憶だと、お前は総司と付き合ってた気がしたんだがな」
それも周りに隠すことなく、だ。斎藤は明らかに動揺した、と言わんばかりに肩をビクリと跳ねさせた。俺は無意識にこめかみを押さえる。大した役者だ。
「…それは」
「ずっと総司と付き合ってて、それでずっと俺が好きだったって訳か?結構器用なことするんだな、お前は」
「っ……」
ぐっと歯を噛み締めたかと思いきや、思い切り抱き付かれた。勿論不意討ちで、構えられなかった俺は慌てて抱き留める。