原田×斎藤
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誰も居ない道場で、斎藤はひとり黙々と何かを打ち消すように刀を振っていた。

事の発端は昼の巡察。ちょうど島原の辺りを通ったときであった。己の想い人である左之が、美しく着飾った遊女と睦まじくしているところを偶然見かけたのだ。

それを目撃した斎藤はいつ、どうやって屯所に帰ってきたのかも分からないほど酷く混乱していた。

そのため、他の事には一切手が付かなく、何をしても足手まといになっていた。

だから、刀を振ることで胸に巣くう雑念を追い払おうとした。

だが、

(何故、遊女なのだ)
(遊びならば俺でも)
(駄目なのか…?)

いくら刀を振っても、心を締め付ける痛みは消えてくれない。
消えるどころか時間が経つにつれて胸の痛みはどんどん酷くなり、尚更苦しくなるばかり。

そして、その苦しさに耐え切れず、押し潰されかけた時だった。




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