理由探し




別に、理由なんかなく、私はここに立っている。
後一歩、踏み出せば多分どうしようもないだろう、位置に。

つまりは学校の屋上の、フェンスの向こう側に立っているわけだから、まるで自殺志願者だ。

まあ、それでもいいかな、なんて思っているわけだから、ある意味自殺志願者かもしれない。


「あーあ、どうしよっかなあ」


先ほども言ったとおり、理由なんかなく、ここに立ってるんだから、どうもしなくてもいいのだ。
それでも、そうしないのは、心のどこかで飛び降りてしまおうか、なんて考えてる自分が居るから。
・・・それを誰かに、止めて欲しいと思っている自分が居るから。

飛び降りるのも、飛び降りないも、特に理由はないのだけど。


「・・・・・・・落ちてしまおうか」


そう思って立ち上がる。一歩、踏み出そうと足を軽く上げる。

飛び降りたら、どうなるのだろう。


「世界にさようならー、なーんちゃって」
「・・・何、やってるんですか」


冗談っぽく、変な台詞を吐きながら、踏み出した、はずだ。
急に現れた手によって、落ちはしなかった。

ふ、とそっちを見ると、白い手。
いつの間に、フェンスを越えたんだろうか、よく知ってる人物がいた。


「、黒子」
「何しようとしてたんですか」
「・・・足踏み出そうと、」
「・・・そうしたらどうなるかわかってるんですか」
「わかってるよ」


嘘。本当はどうなるのか、わからなかった。
多分死ぬのだろうけど、


「・・・なんで、わかってたのにやろうとしてんですか」
「・・・理由なんて」
「ないのに、死のうとしたのか」
「・・・・・・そうだね、そうなるね」


口調が乱れて、ぐっと黒子の顔が険しくなる。
・・・呆れたか、それとも、


「君が死んだら悲しむ人がいるってわからないのか」
「本当にそうかな、」
「・・・え?」
「本当に居るのかな、そんな物好き」


結局、いないんだよ。
ああ、わかった、私が飛び降りようとした理由。

、寂しかったんだ、なんとなく。
はは、ばっかみたい。ああ、もうなんかいやだ。


「・・・バカですか」
「・・・いわないで。今ものすごく思ってるから」
「・・・君が死んだら、僕も死にます」
「は?」



「・・・それくらいに僕は悲しみますし、いやです」



「・・・くろこ、」
「・・・生きる理由がないなら一緒に探しますし、死ぬ理由があるなら、死ねない理由を一緒に探しますから、」
「く、ろ」


ね、そういって微笑んだ彼はいつにも増してかっこよかった。


理由探し
(黒子が生きる理由は?)
(泣かせたくない人が居るんで)
(へーえ)
(あなたですけど)


お題:反転コンタクト様
thanks!



+++++

構って欲しかった女の子とずっとみてた黒子的な感じでどうでしょうか(後付設定・・・
素敵なお題なのにいいいい!
こんな駄文をお読みくださりありがとうございま・・・あれ、名前変換なくね?←



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