君のそのゆがんだ感情で






「ねえ、なまえ。愛してる」
「うん、私も愛してるよ」


一見、なんでもないような会話。ただのカップルの。
けれど、その光景は、どうしようもない違和感をはらんでいて。


「・・・僕から、離れていかないで」
「もちろん、離れるわけがないでしょ。征十郎こそ、どっか、行っちゃわないでね」


ザシュリ

聞こえたその音は、私の首元に鋭い傷を作る。赤い液体が流れ出して、重力にならって、落ちる。
あ、痛い。
痛いけど、もう慣れたし、嫌いなわけでも、ない。


「・・・痛い」
「だろうね」
「・・・・・・征十郎」
「なあに?なまえ」


私が名前を呼ぶと、少し首をかしげて、微笑む。
その彼の首元に、思い切り噛み付く。深く、痕が、残るように。

一生消えなければいい、彼に付けた所有印も、・・・私に付けられた傷も。


「・・・へぇ、驚いた。なまえにも独占欲ってあったんだね」
「悪い?」
「いいや、嬉しい限りだよ。一生、消えなきゃいいね」
「そうだね」
「消えても付けるし、付けてもらうけどね」


そう言って、私に付いた無数にある傷のひとつ、深いそれに口付けて微笑んだ。


君のそのゆがんだ感情で
(死ねるなら、本望です)
(なーんて、)
(ずぅっといっしょに)



++++++


・・・・これ、狂愛っていってもいいんですか?
なんかぬるくないですか、もっと狂った感じにするつもりだったのに・・・!


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