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昔々、といってもほんの1年と半年前。
強い小柄な女の子がいた。強いといっても、喧嘩をするわけじゃない。
バスケットボールが、強かった。

そこまで強くなかった、でも努力をしていたとある中学の女子バスケ部を全国大会の、決勝まで導いて日本1位にまでさせてしまったほど。
けれど、彼女は全国大会後の2年の夏、バスケ部をやめた。けど彼女はバスケが大好きだった。

彼女は、その後誠凛高校へと入学する。

*



「ラグビー興味ない?」
「将棋とかやったことある?」
「日本人なら野球でしょー」
「水泳!!チョーキモチイイ!」

等々、いろいろな勧誘が飛び交う中、私は必死に進んでいる、いや、進もうとしてる。
なにこれ、人が多すぎじゃないか。あ、人に酔いそう・・・。


なんとなくで、人の流れに身をまかせていると、目的地の近くに着く。
すると、そこにはやたら背の高い先客が。
うわぁ、身長くれないかな。などと考えながら、耳に意識を集中してみる。


「そーゆーのいいよ。紙くれ」
「え?」
「名前書いたら帰る」
「あれ?志望動機はなし・・・?」
「・・・別にねーよ」


そういって紙コップをつぶして投げ、去っていく赤髪大男くん。おちろ、紙コップ落ちろ。
重力に逆らうなよ、落ちろ、むしろ堕ちろ、ゴミ箱から外れろ、お前ならいける。


「どーせ日本のバスケなんて、どこも一緒だろ」


カシャッ、

・・・ちぇ、入ってやんの・・・。日本のってことはどっか海外にいたのか。
帰国子女ってやつ?いいなー、英語できそうで。
けど、なんだか寂しそうな顔をするから、少しだけ気になった。きっとそれはあの女の先輩も一緒なのだろう。流石、よく観察しているようだ。


「こ、こえ〜!あれで高1!?」
「うんうん、妬ましいですよね、身長とか身長とか身長とか」
「てゆーか首根っこつかまれて帰ってきた理由が知りたいわ・・・」


そういって少し首をひねる先輩。

「それは・・・って」
「あれ、あなたは?っていうか、ナチュラルに会話に参加してきたわね」
「細かいことは気にしちゃ負けですよ。ところで、お伺いしたいんですが」
「なにかしら?」

「マネージャーって募集、してますか?」


ようやく、第一の目的を達することができた。募集してたら、それでよし。募集してなかったら、

「(・・・まーた男装すっかな)」


また、ストバスで暴れるだけだ。幸い、お金はあるし。ちょっと遠出もできる。
そんなことをつらつら考えながら、先輩の回答を待つ。


「ええ、一応、募集しているけど」
「えっと、じゃあ、マネージャー志望なんですけど」
「はい、じゃ入部届け。書いちゃってくれる?」


あっさり紙がもらえたので、書くことにする。学籍番号と名前と、出身中学校と志望動機・・・。


「はい、お願いします。」
「うん、確かに。ええと、白水律果。出身中学校は・・・あれ?」
「どうかしました?」


変なこと書いたっけ、やばいぞ、すらすらと書きすぎてて見直さず出しちゃったよ。
これで間違えてたりとかしたらめちゃくちゃ恥ずかしいじゃん。
内心そんな風に焦りながら、先輩の様子をうかがう。


「刈樹中学・・・に白水ってあなたもしかしてバスケ部だった?」
「はい、二年でやめましたけど」
「・・・?それがどうかしたのか?」
「二年・・・てことはやっぱり・・・刈樹中学が日本一をとったときの立役者じゃない!」
「違いますよー。あの年はみんなホントに頑張っただけで私はそんな・・・」


それにしても、どこで私の名前なんて聞いたんだろう。もしかしたら、中学が近かったのかもしれない。


「ホントにマネージャーでいいの?」
「いいんですよっていうか、マネージャーがやりたいんですけど」
「そ、そう・・・志望動機はバスケが好きだから、かぁ」
「それじゃあ、わたし、ちょっと用事あるので。これで」


軽く挨拶してから耳を澄ましながら立ち去ると、少し後でこんな会話が聞こえてきた。


「一枚入部届け集め忘れてるっスよ」
「え?いけない、えーと黒子・・・テツヤ・・・」


その言葉には少しばかりの疑問符があるように聞こえる。


「って帝光バスケ部出身!?」
「ええ!?あの有名な!?」


その会話の続きは残念ながら距離と周りの騒音によって聞こえなくなってしまった。
・・・帝光とやらはかなり有名なんだろうか?正直全くしらない。

「くろこてつや・・・」

くろこってまんま黒子って書くのだろうか?だとしたらほくろだな、なんて少しばかり失礼なことを考えて。
今日の空は青かった。


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はい、新連載とかばかなことやってごめんなさい(






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