もう8時10分か。そろそろ蔵ノ介が来るはず。

ピーンポーン


「あ」


ピーンポーン


「来た」


ピーンポーン


「ちょっ」


ピーンポーン


「(イライラ)」


ピーンポーン

ガチャリ

ピーンポーン


「連打すんなや、蔵ノ介っ」

「速く会いたかったんやもん、許してぇな」

「うっ(くそう、可愛い)」


そんな顔されたら許すに決まっとる。


「怒ってへんからええよ」

「(ニコニコ)」

「…どないしてん?」

「そういうとこすきなんや」

「ん、ありがと」


こうやって蔵ノ介がすきって言うときはそのあとに必ずちゅってするんがわたしたちの決まり。

ちゅっ


「あー恥ずかしい」

「けどコレすきなんやろ?」


わたしの唇に触れた蔵ノ介。そこは簡単に熱を帯びた。


「蔵ノ介のイジワル」

「ん、知っとるわ」


むうう、カッコイイ。可愛いもカッコイイもこなす蔵ノ介め。


「って、あ!遅刻しちゃう!」

「あ、ホンマや」

「2ケツしてこ」

「せやな、しっかり掴まっとけよ」

「おん」


わたしの声を合図に蔵ノ介はチャリを漕いで学校までの坂道を下っていった。


「なあー」

「んー?」

「誕生日おめっとさーん」

「おおきにー」

「帰ったらチーズリゾット作ったるー」

「おおきにー」

「そのあとはちゅーもしたるーサービスやー」

「そらええなーちなみにそんあとは何するんー?」


素直に蔵ノ介が言いたいことを想像して顔がホテった。


「蔵ノ介のえっちー女の子に言わせんといてー」

「俺はまだなんも言っとらんよー」

「もー蔵ノ介のばかー遅刻するから早う漕げー」

「ハハハ、ホンマに可愛いやつ」

「うるさいうるさーい」


満開に咲く桜の花びらが舞う4月14日の朝、わたしと蔵ノ介は今日も愛を確かめ合った。



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