『もしもし、夜ちゃん?』

日付が変わる5分前、予告通りに手元の携帯が震えた。

「はーい。ぴったりだねぇ。」

『僕はちゃんと約束は守る男やで?』

そう言うノリックにそうだね、と返す。
電話してくれてありがとう、その言葉はまだ言わない。あと少し、あと少しで彼からの特別な言葉が聞けるから。お礼はその後に。

『そういえば、電話大丈夫やった?』
「大丈夫だけど、なんで?」
『いや、夜ちゃん声ちっちゃくしてるから、何かあかんかったかなぁって。』

おぉ、そこまで気づかれてるなんて。

「今日は珍しく家族が寝るの早くて。あんまり大きな声出すと起きちゃうから。」
『そうなんや。ごめんなぁ。』
「いいよいいよ。」

突然、んー、と悩むように声を出し始めた彼。どうしたの?と聞いたら、少しの沈黙。本当にどうしたんだろ…。

『よし、計画変更やな。』

「え?」

『夜ちゃん、ごめんけど家の前まで出てきてくれん?僕そろそろ一人じゃ寒いわ。』

え、もしかして、
通りに面する窓のカーテンを勢いよく開くと、手に白い息をかけながら、塀に寄りかかるノリックの姿。
こんな寒い中、いつからここにいたの?どうして家の前にいるの?
聞きたいことはたくさんあるけれど、何よりもまず彼のもとに行きたい。その想いが私を突き動かす。

できるだけ音をたてないように、階段をおりて玄関に向かい、静かに、でも素早くドアを開いて外にでた。

「ノリック!!」

外に出た途端そう叫ぶと、こちらを向いてへらりと笑う。

「ごめんなぁ、寒いのに出てこさして。」

「そんな、それはこっちの台詞だよ。」

思わず手にとったマフラーを彼の首に巻こうとした手を遮られ、逆に厚手のそれは私の首に巻かれていく。
寒いでしょ、そう言うけれど、僕は鍛えとるから大丈夫、だなんて。真っ赤な鼻して言われたって説得力ないのに、


「なんで、来てくれてたの?電話だけでよかったのに「ストップ!!」

問いかけを冷たい手で制される。

「あと30秒だけ、待ったって?」

そう言って腕時計を見ながら、カウントダウン。

10、9、8、7、6、5、4、

「3、2、」

いち、と言うのと同時に、勢いよく引かれて、ノリックの腕の中に収められる。

「ちょっ、」

いきなりのことに驚いて、胸を押して抵抗してみるけれど、その努力も虚しく力はさっきよりも増すばかり。

「お誕生日おめでとう、夜ちゃん。」

私の冷えた耳元に囁かれる暖かい吐息。それでも触れ合った頬は彼の方が冷たい。こんなに冷たくなるまで待っててくれた、それだけで嬉しいのに。

はい、と手のひらに乗せられたそれは小さな紙袋。
開けていい?と聞くと照れたように頷く。

「めっちゃ悩んで買ったんやで。女の子いーっぱいおる店で。」

顔を出したそれは、小さな鳥かごのモチーフがついた、シンプルなペンダント。よく見ると、鳥かごの中に大きな三日月と、小さな星が寄り添うように並んでいる。

「これから受験とか、大変なこといっぱいあると思うけど、僕と夜ちゃんはいつも一緒やから。一緒に頑張ろな。」

そう言いながら、私の首に腕を回して私の首にペンダントをつける。
しゃらり、とマフラーの下から顔を出したそれは、小さいけれど、何よりも大きく感じられて。鼻の奥がつん、として、思わず涙が溢れる。

「えっ、なんで泣いとるん?…気に入らんかった?」
「ちが、うれしくて、」

心配そうな顔をする彼の冷えた手を、ぎゅ、と握る。
この嬉しい気持ちを、幸せな気持ちを、彼に伝えようと深呼吸。

そしてずっと言いたかった言葉を口に出すんだ。

「ありがとう、ノリック!!大好き!!」


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夜たああああああああん!!
はっぴーばーすでーふぉーゆー!!
似非ノリックで申し訳ないんだけれど、良ければ受け取って!!
頭に浮かんだ可愛い夜ちゃんとかっこいいノリックを文章にしたかったんだけど!!ほんとごめんね!!

夜たん大好きちゅっちゅっ!!







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