準備は整った。
校長の許可も取った。

あとはアホ共を呼んで全校集会だ。


03 そして去っていく嵐


ーーピンポンパンポーン

『全生徒、全職員へ通達します。本日午後二時より第一体育館にて臨時の全校集会を行います。全生徒、職員は十五分前に集合をお願いします。

 もう一度繰り返しますーー・・・』

昼休み。放送委員による臨時の全校集会の案内。
勿論、俺たち裏生徒会が依頼したものだ。

現在、生徒会長と共に裏生徒会室にて最後の打ち合わせを行っている。

「十五分前にあいつらが来ることはまず無い」
「ないねー。だから、いいんだけど」

「その時間で俺は今回の集会理由を説明すればいいんだな?」

その通り!

今回の集会は言わずもがな、学園で起きている数々の問題について。
そして、それに加担しているやつらの一斉処分について。

学園長からの許可証だってここにある(それも本日付)。
更に、各所、違反者の親族の元へ同じ処分の内容が記入された資料と学園長の許可証のコピーを本日付、本日午前中到着で送付している。

つまり、強制送還ということになるのだ。

「いよいよ終わるねー」
「次からもまた大変だけどな」

嵐が転入してから、約半年。
その期間で発生した費用は数十...いや数百万円。

卒業生からの支援、在校生からの寄付金で成立している学園。

至るところからやんやん言われる始末で、学園長も参ってたんだよなー。
今回の一件で証拠がある分は、そいつらの親族へ一緒に請求書として送ったけど。



  *************



現在時刻、午後一時三十分。
校内放送を聞いていた普通の生徒は、続々と体育館へ集まっている。

俺? 俺は、腐男子と一緒にシアタールームなうでーす。
体育館で上映会をするときに使用される部屋であり、基本放送部が使う場所である。

今回に限り、特別に立ち入り許可を頂きました。

体育館入口には、教員二人が立っている。時間になったら入口を閉鎖し、遅刻者には反省文を書いてもらうことになっているのだ。

「もう少しで時間だねー」
「姿はないな」

体育館入口の様子を見ながら二人で呟く。


ーーガラガラ ガシャン


扉の閉まる音。つまり、午後一時四十五分のお知らせー。
予定通り、来ることがなかった嵐一同様。
俺たちの担任の姿もない。本当に地に落ちたな。

「学業で忙しい時期に、突然集まってもらい申し訳ない」

壇上でマイクを握った会長の声が体育館に響く。

「今回集まってもらった件について・・・集会の議題になるが」

会長から合図が届く。ここからが俺の出番。
因みに今回の集会は、生徒や教員だけでなく、学園長、理事会の皆様とかなりのお偉いさんも不正がないか、監査も込めて参加している。

緊張するー。プロジェクターのスイッチオン。

「一部生徒及び、一部教員による数々の暴挙についての現状とその処分について」

準備された液晶には、転入生とその取り巻き達の名前、今回の議題が表示されている。

会長の発言に答えるように、鳴り響く拍手と歓声。
この時点でこの場の答え、結果は見えた。

あとはもう場の流れに任せて、あいつらの別れの時を待つだけだ。



  *************



ーーガラガラッ


集会が始まって約一時間。内容も終盤に差し掛かり、学園長より今回の処罰について話そうとしている瞬間だった。

勢いよく開かれた扉。門番を勤めていた教員二人には、当事者が来たら何も言わずに通すように予め伝えている。

「おいっ! 集会があるなんて聞いてないぞ!!」

ギャンギャン叫びながら入ってきた嵐。取り巻き達も頷いている。

「静かにしなさい。今は集会中であり、君の発言は許されていない。集会の連絡も校内放送及び、担任教員による伝達で召集している。

 現に、君たち以外の全生徒、教員は集まっている。仕事を放棄している担当教員の生徒達はしっかりここにいるんだ。聞いていないはずはない。

 誰もいない教室で一時間以上、君たちは何をしていたのかな?」

学園長の正論に拍手が鳴る。本当に、その通りなんだよなー。

「今回の集会では、君たちの数々の態度の悪さと今後の処罰について話している」

「どういうことだよ!! 何もしてないだろっ!!」

学園長に吠える転入生ーーバカとしか言いようがない。
取り巻き達はさすがにヤバイと思ったのか、虫の悪そうな顔をしている。

そりゃそうだよな。壇上では繰り返し流されている数々の悪行の映像とリストアップされている校則違反。

これを見て反論するほど、頭は悪くなっていなかったようだ。

「この映像、報告されている内容がすべてだ。

 生徒会役員でありながら、学園の治安を乱し、役員の業務を放棄した生徒会長を除く生徒会役員一同。
 教員でありながら、生徒の悪態を咎めることなく、率先して悪行を援助し、働きかけていた担当教員。
 特待生、一般生徒でありながら、その意味条件を放棄した生徒。

 そして、今回の騒動の発端となった転入生。

 以上、十名の強制退学及び、解雇を本日付で命じる。
 各関係者にはすでに連絡している。すぐに迎えも来るはずだ。

 荷物をまとめて、この地より即刻去りなさい」

「なんでだよ! おかしいだろっ!! お前らもなんとか言えよっ!!」
「いいですから、行きましょう。行きますよ」

この機に及んで、叫び...吠え続ける転入生を引っ張るようにして連れていく元生徒副会長。他のメンバーも後へ続いていく。

生徒会に居ただけはあるな。コトの重大さはよくわかっているようだ。

「生徒諸君、当事者より妨害が入ってしまったが、今公表した処罰が全てになる。
 備品等の修繕費等も当事者の親元は請求書を送っている。部費から対応してくれた分については随時返金処理を行うことにする。
 今回の一件にて、すぐに対応することができず、諸君には大変な迷惑を掛けてしまい本当に申し訳なかった。

 今後も思う存分、学業と部活動に励んでくれ」

学園長はそれだけ言うと、深々と一礼し壇上から降りていく。
その間、ずっと拍手が、体育館が割ればかりの拍手が鳴り響いているんだけど、今日ずっと叩いてない? 手のひら大丈夫? 疲れないの??

でもまぁ、これでやっーと一段落着きました。





(会長、やっと終わったねー)
(次は役員決めだけどな)

(候補も沢山いるからどうにでもなるだろ)
(まぁな。次期役員を早めるだけだからな)





20170908



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