俺の過ごす高校に嵐が来たのは一ヶ月前。
嵐が美形を取り巻きにし始めたのが二十五日前。
その他生徒の我慢が限界に来たのは十日前。

俺が嵐の親友に認定されたのは五日前。
マジでぶさげんなよ。


01 まさに脇役でした。


俺が通う学校は全寮制と言うかなりの閉鎖空間。
しかも、右を見ても左を見ても、前後上下どこ見ても男しかいない。教師も男。
完全なる女子禁制高校だった。

閉鎖空間ともなれば、年頃の男はなんでかな。性の対象をうっかり同性にしてしまうようだ。
俺? 俺はノンケですー。男なんて興味ないし。

学園生活のモットーは我が道行けど、他に関わるな。
うん、超平凡クラスメートD位のポジションで過ごしてきたさ。

ここで築き上げる友情なんざ俺はいらん。
将来ホモ疑惑とか死んでもごめんだね。

というわけで、たいっへん、平和に過ごしていたはずなのに来たよ嵐が。一ヶ月前に。

腐男子と言うなぞの生命体から(そいつ自身は自称俺の友人と語っているが断じて認めん)、聞いた情報によると王道転入生をそういうらしい。

生徒会やら風紀やら役員ホイホイ、一匹狼系や爽やかスポーツ系生徒、教師陣ホイホイ。
あれか、黒光りする虫と一緒なのか。

そして、こいつらの頭の低さにも笑うしかない。
ボサボサヘアーで瓶底眼鏡を掛けた馬鹿デカイ声で話すことしかできないそいつを追っかけ回す。
いやいや、普通疎遠にしたくなるやつだろ。俺は要らねぇよ、そんなやつ後の社会で使いたくねぇ。

まぁ、所詮は他人事。
と、傍観していたのがダメだったようだ。

生徒のストレスが荒れ狂っている中で、まさかの親友発言だ。
一ヶ月振りに登校したし、まさか隣の席だとは誰が想定していたよ?

開口一発目。

「なんだよ! お前が隣なのか! 授業サボんなよ!」

と、怒られ(お前も取り巻きとサボっているのを俺は知っている)、

「仕方ないな! 友達がいないから来るのが嫌なんだろ! 俺が親友になってやる!」

と、続けられ、勝手に名前を名乗り、勝手に名前を調べられて親友へ昇格。
つか、お前と親友になるくらいなら死ぬわ、俺。

担任もまさかこいつの取り巻きになっていたとは(これに名前をバラされた)。

ほんと屑ばっか。しかし、気付かないもんかね。

「こんなんにうつつ抜かしてるやつらだしなぁ」
「まーたー! 気付かれないようにしてたくせにー」

「当たり前だろうが」

嵐と取り巻きから逃げた俺は現在腐男子と共にいる。
場所? そうだな、裏のトップの部屋だ裏。

「しゃべってねぇで手伝え」
「あんたも大変だな、仲間は取り巻きになり下がるわ俺に借り作るわで」

「全くだ。あいつらまとめて処分してぇ」

「ふー、会長さんもいうねー」

腐男子が歓声を上げる。
ここにいるのは、俺、腐男子、そしてこの学校のトップである生徒会長様。

生徒会長様に貸しだなんて人生ホクホクよ。

「まぁその時はこちらで対応しようか」
「ヤル気満々だな」

「あいつらにはたーぷっりお礼してぇんだよ」

勝手に取り巻きの仲間入りにした罪は重てぇからな。


改めて、こちらの自己紹介。
存在は生徒会歴代会長だけが知ることのできる秘密の組織。
それが、裏生徒会。

俺、そこの裏生徒会長してるんでよろしく?




(何で、脇役演じたんだ? キャラじゃないだろ)
(脇役になりきった方が動きやすいだろーが、警戒もすくねーし)
(表が輝かしいからねー)
(今はきたねぇだけだけどな)






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