ねぇ会長。
 あなたは気付いてなかったようですが、俺、会長のこと好きだったんですよ。
 だけど、プライドが許してくれなかったから、あいつがいたから、答えられなかっただけなんです。



   旅立ちの日に



「片岡涼一が今日、日本を発つらしい」

 それは、卒業式を一ヶ月後に控え、仮卒期間を満喫していた俺たちに、突如として告げられた。

 何てことはない、日本の大手企業の次期社長――御曹司ともなればあり得ない話ではない。
 どちらかといえば、今までが特殊だったのかもしれないのだ。

 彼には、俺たちの想像を超越する世界が待っているわけなのだから。

「おぉう、会長、卒業前に発つとか勿体な……!」

 ポテチを摘まみながら、さほど困った素振りを見せずに言う親友。

 ちょうど、談話室へ暇を潰しに来た際、偶然居合わせたそいつ。

 何だかんだで会長とつるみ、俺と会長を繋いでいた大事な仲介人でもある。

「ねっ、咲ちゃん」
「え?」

 突然、話を振られまともに返すことが出来なかった俺に、そいつは楽しそうに笑ながら続けた。

「俺はさ、別に会長がどこで何してよーと困らないんだよね。興味ないし」
「?」

「でも、やっぱ会長を慕ってたり好意を持ってたりすると違うわけだろー?」
「………っ、何が言いたいんだよ」

「会長から咲ちゃんに預かり物しててさ」
「え」

 ガサガサとポケットを漁り、親友が取り出したのは小さく折り畳まれた紙で、俺の前にゆっくりと差し出した。

「これは会長が用意したお互いに最後のチャンスだよ。これには会長がいる空港と出発時刻が書いてある」
「なんで…………」

「会長も未練残したくないだけっしょ。咲ちゃんも今日くらいは素直になってさ行ってきなよ!」

 笑顔で言い切ったそいつに、無理矢理紙を握らされそのまま背中を押された俺。
 慌てて振り向けば、

「頑張って来なよ咲ちゃん! 当たらずして帰ってきたら追い返すからね」

「…………! ああ」

 本気で応援してくれている親友の姿があり、俺は初めて全てを理解した。

 間違いなく親友は、俺の気持ちに気付いていたこと。

 いつからかは分からないけれど、その為に片っ端から役員の仕事を放棄していたこと。
 そうすることで、俺は生徒会室への出入りも可能で、一緒に行動できることになる。

 何も考えてないようで、実は一番の策士に俺は深く感謝しながら談話室を飛び出した。

 この先、後悔することの無いように。
 一ヶ月後、胸を張って次のステージへ上れるように――………。







  ×+×+×+×+×+×+×+×


 昔運営していたサイトのキャラを使ってBL風小説を書こうと試みましたが、失敗しました。。。。。

 この先も考えているんですが繋がりを作れないという。

 というわけで別上げします。
 4月になりそうな気もしますが。。。。

 …………有り、ですよね?



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -