私はルッスーリア様のことが好きになってしまった。あの鍛え抜かれた肉体、度肝を抜くファッションセンス、そしてなんでもこなせる器用な両手。全てが憧れた。全てに惹かれた。あぁどうして、こんな素敵な人に気が付かなかったのだろう。ルッスーリア様を知っていたら、こんなうるさい上司の部下なんかじゃ無かったのに。どうせ暗殺部隊だしとナメていた私が愚かだった。あぁ叱られたい。あのルッスーリア様のヒールで踏まれて、とても人前では言えない言葉で――…
「ゔお゙お゙ぉぉい!!仕事しろぉクソなまえ!!」
『いっ――たぁぁぁぁいぃ!!何するんですか!』
愛しい愛しいルッスーリア様を眺めていたら、例のうるさい上司に殴られた。チッ、良い角度で眺められていたのに。本当に嫌いこの上司。むしろウザい。
「てめぇ……全部口に出てんぞぉ…!」
『あーすみません。私隠し事とか苦手なんでー。』
「思いっきり棒読みで謝るなぁ!あと涎の跡を拭けぇ!」
あぁやだ私ったら!ルッスーリア様のこと考えていたらつい…!良かった、ルッスーリア様にこの顔を見られなくて。
…私っていつも思っていることが態度に出ちゃうのに、ルッスーリア様はなぜ気づいてくださらないのかしら。もっともっとアピールしないとダメってことなのかな…。ていうかそもそも、女の私に興味無し…!?
「おい一人百面相。」
『…それってもしかして私のことですか。スクアーロさんネーミングセンス無いですね。せめてもう少し可愛いニックネーム付けてもらえませんか。』
「なんでお前そんなに目がマジなんだよ。」
あーあ。うるさい上司のせいでルッスーリア様は何処かへ行ってしまったし、うるさい上司に変なニックネーム付けられるし、今日は厄日かもしれない。あーあ。本当にツイてない。
「だからてめぇは全部口に出てんだよぉぉ!!」
『マジほんとすみまっせーん。』
「てンめぇ…!!」
「あらぁ〜!スクアーロったらこんなトコにいたの〜?」
『!!』
こ、この声は………間違うはずが無い。私の大好きな大好きな世界で最も尊敬する……のはボスだけれど、それに値するくらいのお方は…!
「ルッスーリア!何か用かぁ?」
『ああぁ!なんでスクアーロさんが先に名前呼んじゃうんですかぁ!』
「イテッ!て、てめ、何しやがる!」
私が先に名前呼びたかったのにぃぃ!!やっぱり嫌いだ!スクアーロさんなんて!実力は認めてるけどそれ以外は嫌いだ!
ポカポカと怒りに任せてスクアーロさんのお腹を叩いていたら、あら?と声がした。
「あなた、この間アタシにアップルパイ持ってきてくれた子よね?」
『ぁっ…その、…はい。』
う、うわぁぁぁぁ!ルッスーリア様に覚えててもらってたぁぁぁ!
顔が熱くなって思わず俯いてしまう。そんなことしてやがったのかぁとか態度違い過ぎんだろぉとか、いろんな意味を含めたスクアーロさんの視線は無視。もうアウト・オブ・眼中。
「とってもおいしかったわよぉ。良かったら、また作ってくれる?」
『えっ、あ、はい!よ、喜んでうわあああああああん!』
「え!?ちょっと何事!?」
嬉しすぎて嬉しすぎて泣いてしまった。自分情けなさ過ぎる…。オロオロしているルッスーリア様の肩にスクアーロさんが手を置いて、気にするなと言っている。ちょ、コラ!ルッスーリア様に触るんじゃない!
この恋の続きを考えなさい
今度はレモンパイ作りますぅ……!
パイ以外作れねぇのかよ…
……
イッテェ!!
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ルッスーリア
意外と楽しい^q^
'11.08.21 一部修正
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