今夜は盛大なパーティーだ。なんでもうちのトコと新しく同盟を組んだようで、その祝いだとかなんとか。俺もそれなりに正装して、パーティーに参加するハメになってしまった。スーツっていつんなっても慣れねぇな。かたっくるしくて苦手だ。


「せっかく正装したのに、そんなにがっついてたら汚れますよー堕王子。」


「うっせ。つーかなんでここにいんだよ。」


「あんたがなまえほっといてがっついてるから、ミーが届けに来たんですよー。」


感謝してほしいくらいですよーなんて呟いているカエルの後ろから、ビクビクしながらなまえが出てきた。ワインレッドのドレスの裾を掴んで、俺を見てきやがる。うぜぇ。


「がっついてねーよ。あぁそうだ。ついでにそのガキ持ってっていーぜ。」


「でもなまえはセンパイがいいみたいですよー?」


「あぁ?適当なこと言ってん……。」


ぐいっ。
違和感を感じて視線を下に落とせば、俺のスーツを両手で握りしめているガキがいた。シワになるだろうが。そう思って手を伸ばそうとした瞬間、カエルが喋りだした。


「じゃーそういうことなんで、後はよろしくお願いしますー。」


「は!?ちょっオイ待てよ!大体オカマはどこ行ったんだよ!」


「ボスが上で大事なお話をしてるそうでー、その付き添いですー。」


人差し指で上を指しクルクル回しながら去っていくカエルの背中に、ナイフを刺してやりたい。今までこんなに本気で思ったことがあっただろうか。
あんなでかいカエルを被っていたのに、パーティーの人混みに紛れてその姿は見えなくなった。とりあえず俺は食べかけていたチキンを皿に置き、ガキを睨んだ。


「離せ。シワんなる。」


『あ…ごめんなさい…。』


ごめんなさい、と謝ってみたものの、その手を離す気はないようだ。両手から片手になったくらい。俺はまたガキを睨んでみる。それに気づいたガキはビクッと肩を跳ねさせるが、頑なに手は離さない。なんだってんだよ……。


『……ならない…?』


「あん?」


『ベル…もう、いなくならない…?』


あぁ、そういう…。
ガキってのはめんどくせぇな。一回離れたくらいでこうなっちまうのかよ。えーと…こういうときはどうすんだっけなー…。わかんねーけど、とりあえず頭をぽんぽんと叩いてみた。まぁ、こんなんでいいだろ。
次にガキの手を俺の服から剥がす。瞬間、不安そうな顔。あーめんどくせぇ。


「スーツは掴むな。」


『……でも…。』


「王子の手、貸してやっから。」


ししし、と笑って見せて手を差し出す。すると最初の不安な顔は消えて、嬉しそうな顔で俺の手を握るガキ。うっわ、単純ー…。つーか、だいぶ恥ずかしいんだけど、コレ…。

パーティーが終わるまでの我慢だ、なんて自分に言い聞かせる。最近の俺は、このガキに振り回されている気がするぜ…はぁ…。












思わぬ毎日








「わー、すっかりお兄ちゃんですねー。」


「黙れクソガエル。」


「ベルセンパ…じゃなかった、ベルお兄ちゃーん。」


「ししっ、ぶっ殺す。」





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まだ…続く…!!

それよりもベルさんの口調が行方不明に…!これは大事件です社長ううう……!!



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