盛大に祝ってくれた私の誕生日パーティー。いつも以上に豪華な料理に豪華な衣装まで頂いてしまって、ボスには本当に頭が上がらない。まぁ、そんなボスは今お肉様に夢中だけど。
いろんな人からプレゼントまで貰って、ここに来れて良かった、なんて柄にもなく涙ぐんだりして。
今日は、とっても楽しい誕生日でした!
ドレスのままバルコニーに出て、少し夜風に当たる。あと数分で今日が終わる。そうしたらもう、私は主役なんかじゃない。そんな目立ちたい性格でもないけど、そう考えたら少しだけ寂しくなって、今日一日を目を閉じて振り返る。
手すりに肘を乗せ、その上に顔を乗せる。本当に、本当に楽しかった。
「満足してくれたかい?」
背後から声を掛けられた。聞き慣れた、安心できる声。
私は目を開けることなく、その声に応える。
『楽しかったよ。特に最後のスイーツは最高だった。』
「やれやれ、結局君の行き着くところは食べ物なんだね。」
ぴょんっと手すりに登って来たのは、やはりマーモンだった。いつもの黒いフードじゃなくて、今日は白で統一されている。ちなみに頭はなんだか耳っぽいものが付いていて、可愛いと言いたいのだが我慢。仕返しが怖いのだ。
『あはは。だって、あれマーモンの貯金から出して取り寄せたやつなんでしょ?美味しくないわけないよ。』
「もう二度と買わないからね。お陰でどれだけ貯金が減ったか…。」
『このお味は一生忘れません。』
「それを言うなら、このご恩、だよ。」
表情一つ変えずに喋るマーモンに、私はただアハハと笑うだけだった。こんなこと言うのもアレなのだが、本当は、今日が終わってほしくなくて、悲しくて、少しでも油断したら泣いてしまいそうなのだ。
そんな気持ちを掻き消すように、私は顔を上げて、部屋の中を見回す。
『ボスはまだお肉食べてるねぇ。』
「うん。」
『あーぁ、止めようとしてお酒まみれじゃん、スクアーロ。』
「馬鹿だね。」
『あ!ベルとレヴィがケンカ始めた!止めなきゃ!』
「やめなよ、報酬も出ないし。」
『あ…ルッスーリアが来てくれた…良かった〜。』
「……あのさ。」
『ん?』
部屋の中のみんなを見て笑う私に、マーモンが静かに声を掛けて来る。なんだろうと振り向くと、視界いっ…っぱいにマーモンが。
――…あぁ、えっと、これは…。
「なんで僕が君なんかに貯金を使ったか、もっと理解すべきだと思うよ。」
キスした後の第一声がそれですか、マーモンさん。呆気にとられていると、私の目の前を何かが横切って行った。何か、なんてすぐに想像がつくけど。
『ちょっとベル!危ないじゃない!』
「うっせ!そんなチビとイチャついてるからだろーが!」
ベルが叫べば、もう一本ナイフが飛んでくる。あーもう!ベルったら完璧に酔ってるな!この我が儘王子が…!
『そこで待ってなさい!あんたなんてすぐに寝かしつけてあげるから!』
「しししっ!なまえちょー顔まっかー!ウケる!」
『黙りなさい!』
ドレスの裾を持ち上げながらそんなことを口走るなまえを見て、マーモンは静かに笑うのだった。
「Buon Compleanno.」
破れたドレスと君の笑顔
(ねぇ、そのドレスはいくらだと思う?)
-------------
おおおとなっぽい雰囲気をですね…!(略)
マーモン楽しいなぁ。
マーモン可愛いもんなぁ←
← →