なんだかいつもより、みんなが冷たい。スクアーロに挨拶したら無視されたし、ベルに抱き着いたらキレられたし、マーモンは会話中の相槌が適当だし、ルッスとレヴィに関してはここ数日会ってすらいない。
いつもなら…、いつもならこんなことはないのに。挨拶だって返してくれるし抱き着いたって笑ってくれるし楽しく会話してる。


『…なんでだと思います?』


「知らねぇよ。」


そして今、唯一私に構ってくれるのがボスだけなのである。無理矢理話しかけているのもあるが、書類に目を通しながらでもちゃんと会話してくれるのが嬉しい。


『私…みんなに何かしたのかなぁ…。』


「……。」


ボスの部屋にしかないフカフカのソファーに寄り掛かりながら腕を組む。今日までの自分を振り返ってみても、原因と言えるようなことは何一つ思いつかない。
考えるのを諦めようとした時、ボスの部屋の扉が開いた。


「ボス、今夜のことなんだけど……。」


扉の小さな隙間からひょっこり顔を出したのは、マーモンだった。ボスに用なのだろうが、私の顔を見るなり言葉を詰まらせる。


『あ、邪魔なら私出て行くけど、』


「いい。ボス、また後で来るよ。」


私の言葉を遮ってまで拒否したマーモンは、ボスに一言残して去って行った。というか、今のは確実に、あからさま過ぎる。


『……。』


「……おい、泣くなら自室に戻れ。」


存在自体を、否定されたような、そんな気がした。私が話しかけたって眼中にはなくて、やっぱり目は合わせてくれなかった。それどころかこっちにすら視線を向けない。
なんだかわからないけど、私、みんなを怒らせちゃってるんだ。謝らなきゃいけないけど、何に対してだとか、みんな同じ原因なのかとか、頭の中はぐちゃぐちゃだ。これからずっと、こんな毎日なのかな……。


「…おいカス。」


『な゙…んで、しょう、か…?』


「こっちに来い。」


さっきまで手に持っていた書類を机に置いて、まっすぐ私を見つめているボス。返事はしなかったけど、私はボスに歩み寄った。

ボスの近くまで歩いてきた瞬間、強い力で引かれた。思わず目を閉じれば、少し固めの胸板の感触と、ふわりとボスの香りがした。


『…ボッ…ス…?』


「Buon Compleanno.」


『……っ、え?』


なんて言ったのか一瞬わからなくて、ワンテンポ遅れて声が出た。あれ、今日って私の…?


「テメェを泣かせるつもりは無かった。」


『あ、の…。』


「カス共はテメェを嫌いになったわけじゃねぇ。」


ボスの話によれば、今日は私の誕生日だから、今夜はそのパーティーを行うつもりだったらしい。サプライズがいいというルッスの提案に、ボスも協力させられていて黙っていたが、私が泣いたことでどうでもよくなったとか。ちなみにさっき来たマーモンは打ち合わせがしたかったらしいが、


「テメェがいたから戻ったんだろうな。」


『…そう、ですか…。』


「もう少し騙されててやれ。カスなりに考えてテメェを喜ばせようとしてるみてぇだからな。」


ボスの一言一言が、私の胸に染み込んで来る。みんなから嫌われていたわけじゃなかった。それだけで私はものすごく安心したのに、この後サプライズが待っているだなんて。


「わかったならさっさと離れ…」


『よ゙、よかったあ゙ぁ〜…!』


安心した私は、これまで我慢していたかのように泣いてしまった。あろうことか無意識にボスに思いっ切り抱き着いて。
わんわん泣く私の頭に、ボスはそっと優しいキスをくれた。











一人ぼっちにするわけがない


(テメェは俺から離れるな)




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ボスは気合い十分だぜー!
気合いと愛といっぱい詰めましたぜー!これが穴月の今の精一杯だぜー!


…やり切ったぜ……!!


そんなわけで、お誕生日おめでとうございます(^^)



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