ここはひとつ、悪戯をしてあげるのが礼儀だろうか。たまたま通り掛かった中庭の木の下で、新入り毒舌蛙が、有り得ないほど可愛い寝顔で転がっているではないか。
『(……まぁ、黙ってれば年相応だしね。)』
そっと近づいて、蛙の正面で体育座りをする。薄く開いた唇からは、すーすーと音が聞こえてくる。にしてもなんだろう……この湧き出てくる感情は…。
『こ、ここはやっぱり、顔に落書きがお約束だよね。』
「…やめてくださいー…。」
うずうずしながらにやける口を抑え切れずに呟けば、予想外に返事が来た。なんだ、起きてたのか。そう思いながらフランの顔を覗き込めば、まだ少し重たそうな瞼。
『起きてたの?』
「や…なんだか殺気を感じたので…起きちゃいました…。」
起きちゃいました、とか言いながら、見え隠れするエメラルドグリーン。おいおい、暗殺者がそれでいいのかと思わず笑ってしまった。
「なに…笑ってるんですかー…?」
『フランがぽけぽけしてるから、可愛くてつい!』
悪戯っぽく笑えば、逸らされてしまった瞳。それでも薄く開いた唇や、指一本動かない体は、今だ睡魔に捕まったままなのだろう。
今更ながらフランがカエルを被っていないことに気づく。さらりとその綺麗な髪が頬を滑る。
『…しつれいしまーす。』
「…?」
体育座りをやめた私は、今度はフランの隣に腰を下ろす。するとフランはキョトンとこちらを見つめてくる。
『肩、貸してあげる。』
「…あぁ。じゃあ遠慮無くー…。」
驚くほど素直なフランにビビりつつも、自分の肩に乗せられた重みに胸がじんわりと温かくなる。本当に子供なんだなぁなんて、思わず考え込んでしまう。
『カエル被らなきゃ、いつでも貸してあげるよ。』
「…ほんとですかー?じゃあ…ミーもう、あれ被らないです…。」
『ベルと喧嘩の日々だね。』
あ、いつものことか、と笑えば、返事はなかった。首だけを横に動かせば、顔は見えないけれど、規則正しく上下する胸。納得するのに時間はかからなかった。
『……好きだなぁ…フラン…。』
ポツリと漏れた声は、きっとこの子には届いていない。それでもいい。しばらくはこのままで、続いていけばいいな、と思えたから。
重たい瞼と肩の温もり
ぶっちゃけると、あれはミーの幻覚で、本物のミーはこっちなんですが………まぁなまえセンパイがよく眠っているので、このままで良しとしますかー…。
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可愛いフラン書きたかった…
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