パチン…パチッ…
「それ、こっちの角じゃないですかー?」
『あ、ほんとだ。さすがフラン!』
パチッ…
数分前から始まったパズル大会。二千ピースあるこのパズルは、以前暇のあまり屋敷でフランと鬼ごっこ(と言う名の大暴れ)をした時に、スクアーロ先輩がくれた物だ。ガキ共はこれで大人しくしてろぉ!と言われ、はしゃぎたい盛りの年頃なのに、はいそうしますで大人しくなるわけないじゃない!と意気込んだのはつい昨日の話。
今日も談話室で暇していて、何気なく手に取ったパズルがなんとまぁ面白いのだ。
『あっ、それここじゃない?なんかはまりそう!』
「そんな理由で埋まるほど、パズルは簡単じゃ……はまった。」
『ね!言ったとおりー!』
細々としていてどれも同じ形に見えるピースがくっつく度に楽しさが増える。まさにパズル恐るべし。フランもけっこう真面目に取り組んでるようだ。さっき頭をぶつけ合ったカエルの被り物も今は床に転がっている。
『ところでコレ、なんの絵になるんだろうね?』
「アホのロン毛隊長のことですからー、きっとろくでも無い絵じゃないですかー。」
最近入ったばかりの私達は、歳も近いせいかよく一緒にいる。私の方が少しだけ先に入隊したからフランの方が後輩で、敬語を使うのは当然の事なのだが、まぁ口が悪い。毒舌ってやつかしら。しかも私にだけ先輩をつけない。フラン曰く、「まぁ同期みたいなもんじゃないですかー」だ。あまり納得はいかない。
『鮫の絵だったりして…。』
「あー、そういうのリアルなんでやめてくださーい。」
パチリパチリとピースがくっつく。次第に絵も浮き出してくる。青い背景をメインにした、イラストよりも写真に近い感じ。
『だってこれ海っぽくない?空にしては濃いし。』
「…だからって鮫とは限りませんよー。別の魚かもしれないし。」
うむ、確かに一理ある。それに鮫とは思えない黒いピースがけっこう余っている。うぅむ、一体コイツは誰なんだ。
『よしっ!今日中に完成させよう!』
「元々そのつもりですー。」
最初はあまり乗り気じゃなかったフランも今ではこの通り。この調子なら予定通り今日中に完成出来そうだ!
『……でっきたぁー!』
「なかなか手こずりましたねー。」
日は暮れて夕方、やっとこのことでパズルは完成した。最後のピースは二人で仲良くはめて。
あの謎の黒いピースは、ペンギンだった。なるほどと頷くのと同時に、スクアーロ先輩がペンギン…と二人でこっそり笑ったのである。
『疲れたねー。』
「丸一日使いましたからねー…。」
『でも楽しかった!』
二人でうーんと伸びをして、背もたれに体を預ける。いやぁなかなか疲れた。でもこの達成感は堪らないね!暴れるのも楽しいけど、意外とこういうのも悪くないかもしれない。
「…ミーも、なまえと一緒だから楽しかったですー。」
『え、なにそれ。ていうか呼び捨て!』
なまえがビシッと指を指して注意すれば、フランは小さく「鈍感…」と呟いた。その声はなまえに聞こえていなかったけれど。
『スクアーロ先輩が帰ってきたら自慢してやろうね!』
そう言って楽しそうに完成したパズルを見つめるなまえを横目に、フランは静かにカエルを被るのだった。
完成した気持ち
いつの間にか気になって、
いつの間にか好きになる。
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フラン難しいです。
小説のテンポが作れない。
練習しよう…。
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