今日は非番。日頃の疲れを取ろうと思い、お昼前なのだが未だにベッドの上。自分でも有り得ないくらいダラダラしている。最近のミーはおかしい気がする。

おかしいと思う原因は、気を抜いた瞬間に浮かぶ一人の女性。女性、と言ってもジャッポーネ出身である彼女は見事なまでにアジア系な顔立ちで、顔も幼ければ背も低い。ミーより二つか三つ上だとチラリと聞いたことがあるが、いやいや冗談でしょ?と自分に言い聞かせているのだ。
そしてなぜ彼女が思い浮かぶのかも謎であった。


「あー…ひまだなー…。」


広い部屋に自分の声は響いて消えていく。最初こそは慣れなかったこの広さも、今では落ち着けるまでになっていた。人間の慣れってつくづく怖いなと考えていたところで、窓の外で何かが動いた。

敵かと思ったが人の気配なんか無く、視線を窓に集中させると、ふわふわとしたものがまた飛んできた。


「…シャボン玉?」


そう、それはシャボン玉だった。しかもそれは下の方から流れて来ている。下?下の階は確かオカマセンパイだった気がする。だがあのオカマがシャボン玉なんてするのか。想像したら少し気持ち悪くなった気がした。ゲロゲロー。

不思議に思ったミーは身を起こして(ダジャレじゃないですー)窓の下を見てみる。すると中庭で楽しそうにシャボン玉を吹く彼女……なまえセンパイがいた。
うわ、なんだこれ。見た目が幼いと思っていたがやることも幼いなんて。任務の時以外あまり関わらないから、あまり日常的な顔は知らなかった。だがミーの中では頼れるしっかり者のセンパイって印象が強かったのに。

ボーッとセンパイを眺めていたら、目があった。ヤバッ視線送りすぎた。ミーを見つけたなまえセンパイはにーっこり笑って(えぇそりゃあもう楽しそうに)ミーに手を振りながら言った。


『フランも一緒にやろーよー!』


…なんてこった。



あの屈託の無い笑顔で言われたら断れない訳で。でもまぁ少しはなまえセンパイと話してみたい気持ちもあった訳で。いろんな言い訳を自分の中で言い聞かせながらついつい中庭に、センパイの元に足を運んでしまっていた。


『遅いよフラン。来ないかと思った。』


「それはすみませんでしたー。」


近くに来ればミーより少し小さいセンパイが見上げてくる。あぁなんだこれ。さっきからなんなんだ。


『ほらっ貸してあげる、フランの番だよ!』


「…ありがとうございますー。」


『二人でおっきいの作ろう!ヴァリアー邸くらいおっ「ミーそんな肺活量ある人見たこと無いですー。」


やはり幼い。いつもの毒舌の調子が出ない。それにしてもなんでそんなに楽しそうなんですかー?期待に満ちた目でシャボン玉を見つめて、期待に応えられなかったシャボン玉を見て本気でショックを受けている。…表情がくるくる変わる。ミーとは正反対だ。

不意にシャボン玉楽しいねーなんてこちらを見ながら笑うので、ミーの心臓は小さいが跳ねる。うん?なんだかこの状況は悪いのではないか?
楽しそうに(でも期待しながら)こちらを見るなまえセンパイを見ていても仕方ないので、自分も液をつけて息を吹き込む。ヴァリアー邸くらい大きな、か。

息の続く限りシャボン玉を膨らましていると、頑張れフラン!と応援された。いや、そこまで頑張る気は無いのだが。キラキラした目で見つめられると、どうもやりにくいんですがねー…。

その時あっ!とセンパイが声を上げた。


『これって間接ちゅーだね!』







完敗だ。





思わず息を思いっきり吹いてしまって、シャボン玉は消えてしまった。というか間接ちゅーってなんですか、せめて間接キスって言ってくださいー…!






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毒舌って難しい。
フランって難しい。



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