※オリジナルアルコバレーノ
※ラル的な存在。つまりなりそこない。
※絶賛一人旅中
数日前、食料が尽きて餓死しそうだった私の前に、それはそれは大きな森が広がっていた。まぁ私の体が小さいせいもあるから大きく見えてしまったのかもしれないが。とにかく、そこには熟した林檎や美味しそうな実がずらりと並んでいたわけで。
『生き返ったぁーっ!』
鍛治場の馬鹿力とはこの事かと。ヘロヘロだった私はどこにそんな元気があったのかと突っ込まれるくらい身軽に木を登り、実を食べ尽くした。本当に生き返った。森ってすごい。もうそこら辺にゴミは捨てません。あ、いや、捨てたこと無いけど。……スカルは捨ててそうだな…今度聞いてみよう。
満腹になって余裕が出た私は、少しこの森を探索してみることにした。他にもいろんな実があるかもしれないし、動物がいるなら捕って食うだけ。今夜はこの森で寝ることにしよう。
ワクワクしながら森を歩いていると、少しだけ開けた所に出た。ガサガサと目の前の茂みを突き破って顔を出すと、でかい、とにかくでかい城があった。
『(あの門の紋章……見たことあるなぁ…。でも思い出せない…。)』
モヤモヤ考えるより行動に出ることにした私は、小柄な体を生かして身軽にちょこまかと動く。自分でちょこまかって変かなぁ……とりあえず、警備の目は盗むことが出来た。
『(っひゃあー!窓いっぱーい。)』
三階くらいまで登った所で、ちょっぴり窓から中を覗いてみる。広い部屋だった。城がでかければ部屋もでかいのか。
もう少し乗り出して見ると、小さな黒い塊が見えた。あれ、なんだかすごく見覚えがあるぞ…。あの頭の上の蛙と…手に持ってる札束……。
『マーモンだぁーーーっ!!』
「ムギャッ!!」
ガッシャーン!と窓を突き破り思いっきり黒い塊……マーモンに抱き着いた。抱き着いた衝撃で札束がバラバラになって宙を舞う。その中で私はニコニコ笑い、マーモンはといえば、ポカンと口を開けていた。
『マーモン久しぶりだねぇぇぇっ。』
「君……なまえかい?」
『そうだよーっ!マーモン変わってないね!あ、久しぶり!』
「少し落ち着きなよ……うるさいのは嫌いなんだ。」
マーモンの手を取ってぶんぶん振っていたら、遠回し…でもないかもしれないけどウザがられてしまった。ごめんごめん、と謝ればマーモンにくるっと背中を向けられてしまった。
『あれ……怒った?』
「怒らない方がおかしいでしょ。今散らばったお金集めてね。あとそこの窓の修理代と、僕に抱き着いた料金を……」
『ま、待って!そんな払わなきゃいけないの!?』
当然だろう?とマーモンはそれだけ言って大きな椅子に座った。
『ひどい…!これが久しぶりに友達に会った態度かドチビ!!』
「君と誰が友達だって?それに、この姿なら君と大差ないからね、チビ。」
まだアルコバレーノの呪いがかかる前、身長が同じくらいだった私達は今のように「チビ」とお互いを罵っていた。まぁ最後はいつもはリボーンが止めていたんだけど。
「あぁ、急いだ方が良いんじゃない?さっきの音でみんなこっちに駆け付けて来るだろうし。」
『え…みんな?』
「ここが何処だかわからず侵入して来たのかい?チビな上に馬鹿なんだね。」
『ばっ…!……確かに見たことある紋章だったけど、ここってけっこう有名なトコ?』
「馬鹿過ぎるね。ここはボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアーだよ。」
『独立暗殺部隊………ヴァリアー!?』
私が叫べば、マーモンはため息をついた。それになんだかムッとしつつ、私の頬に冷汗が流れる。ここってかなりヤバいところじゃないか…。ていうかマーモンこんなところに入ってたんだね…。
『どっどうしよう…!』
「…まぁ、呪いの関係者として逃がしてあげてもいいけど。」
『ほっほんと!?』
わたわた慌てていた私に、マーモンはただし、と手を出してきた。
「ちゃんと報酬は貰うからね。今は持ってなさそうだから、ローンってことで。」
『えええー…。一瞬神様みたいな存在に見えたのにー…。』
「ム、倍にするよ?」
『あーはいはいわかりましたぁ!ちゃんと払いますから!』
「交渉成立だね。ちなみに僕はしつこいからね、払わなかったら覚悟しなよ。」
はいはい、と返事を返そうとした時、マーモンの部屋の扉が吹っ飛んだ。何事かとそっちを見れば、目の見えない金髪とゴツい男がいた。こっわ!この人達こっわ!ていうか見つかってんじゃん!交渉破棄だよマーモン!
『マーモ……』
「しししっ、さっきの音なに?侵入者?」
「ぬっ!窓が粉々ではないか!」
『(ん…?)』
その侵入者が目の前に居るというのに、二人ともマーモンしか見ていない。私に気づいていないようだ。もしかして…幻術?
「あぁ、窓だけ割って去って行ったよ。」
「貴様追い掛けなかったのか!!」
「僕はお金の方が大事だからね。」
「なぁ、そいつまだこの辺にいっかなー。ヴァリアーに喧嘩売ったこと後悔させてやろうぜ。」
「僕はパス。」
「俺も行くぞ!」
嵐のような二人は、さっき私が割った窓から飛び出して行った。静かになった部屋に私とマーモンだけが残された。
『なんか…すごいねチビ…。』
「慣れだよ。それよりお金よろしくねチビ。」
友達はちびっこ
久しぶりに会った友達は、なんだか逞(たくま)しく成長していました。
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ちっちゃい子同士でもっと会話してくれ(//^^)
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