『マーモンマーモン、ほんと可愛いねぇ。どうしてこんなに可愛いの!』
「あのさなまえ、そろそろやめてくれない?」
朝からだ。こうしてなまえが僕を抱っこして、僕の頭にすりすりと頬を擦りつけるのは。もうすぐお昼になるっていうのに、なまえは僕を離そうとはしない。むしろ力は増している。
「そろそろ有料だよ。」
『えー、もう少し!』
まだやるというのか。まぁなまえにされる抱っこも頬っぺたも、ベルに比べたら随分と柔らかいし、嫌な気分にもならない。でも辛い。この状況は辛い。トイレって嘘ついて逃げだそうとしたけど、なんだかなまえにはそれが出来なかった。後で泣きながら部屋に来られても困るしね。
その時ふと、ある考えが頭を過ぎった。
「…なまえは僕じゃなくても、小さい子なら反応するんじゃないか?」
『ん?』
「例えば。」
僕は幻覚で、アルコバレーノをなまえの隣に出してみた。すると案の定なまえの目は輝きだし、わあああと歓喜の声を出した。……僕のことを抱きながら。
『みんなおしゃぶりついてる…。ってことは、アルコバレーノ?』
「そうだよ。」
本当はこんな奴ら出したくなかったんだけどね。なまえの腕の中から出れるなら手段も選んでられないよ。…実際まだ出れないけれど。
『みんななんて名前?』
「ちゃおっす。俺はリボーンだぞ。」
「俺はコロネロだ!コラ!」
次々に名乗るアルコバレーノ達。それになまえはうんうんと笑顔で頷いて聞いている。とても楽しそうだ。そして僕はまだ出ることが出来ない。
一通り自己紹介を終えたようで、今度は他愛のない会話をしている。僕を腕の中に入れておきながら、僕は放置されている。なんなんだ、この少し寂しい感じ。……寂しい?
「オメーなかなか可愛いな。ツナの花嫁候補に入れておくか。」
『ツナ?』
「俺の生徒だ。今はボンゴレ十代目になれるよう修業っ……。」
『あれ?』
気づいたら僕は、幻覚を消していた。なんだこれ。なんだか僕がすごく惨めじゃないか。それにリボーンのあの言葉。あの言葉に思わず消してしまったけど、今思えばこれって…。
『マーモン?疲れちゃったの?』
「…言ったはずだよ。ここからは有料。」
必死に言い訳を探して、赤くなりかけている顔を見られないように伏せる。なまえはそっかー残念だなーなんて言っている。お金を払う気は無いようだ。
じゃあお昼食べに行こうか!となまえは立ち上がり、食堂にぱたぱたと歩き出した。僕はといえば未だに腕の中で、どうやっても抜け出せないなと諦めかけていた。
気がついた
『大丈夫、マーモンが一番だからね。』
「(…!)なんの話だい。」
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マーモン可愛いい!
可愛さが表現できないい!
アルコバレーノの
みんなは友情出演(^^)
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