『人は死んだらどうなるのかな。』


なまえは元々頭のネジが数本外れているというのは、ヴァリアー内では有名な話しである。それは彼女の行動が、発言が、我々には理解できないことばかりを言うからである。…僕の場合は今まさにそれだ。


「仮説ならいろいろあるけどね。」


僕は特に興味が湧かないので、適当に流すことにした。だが僕が返事をしたことに目を輝かせ、向かいのソファーから隣へ移動しなまえは距離を縮ませた。しくじった。


『たとえば?』


「……一度死にかけた人間は、花畑と川を見たと言う。その証言が多数なことから、その説が今では一般的になっている。」


『ふぅん?』


「だが逆に真っ暗な空間にいたという証言もあれば、何も見なかったと唱えた奴もいた。だから天国も地獄も存在しない。」


『マーモン今日はよく喋るねぇ。』


「…馬鹿にしているのかい?」


僕が声を低くして言えば、なまえは肩を竦めてゴメンと笑った。その悪びれているのかさえわからない笑顔は次第に消え、真面目な顔付きになる。


『でも結局それって、見た人達の理想だと思うの。』


「ム?」


『自分は死んだらこんな世界に行くんじゃないかな、とか。こんな世界に行きたいな、とか。』


「人間は常に楽をしたい生き物なのに、最後は真っ暗な空間を思い浮かべる奴はどうなんだい?」


『自分を攻めちゃう人なんだよ、きっと。真面目な人こそ闇に堕ちる。』


あぁ私は、妻を残して逝ってしまった。あぁ僕は、あの人との約束を守れなかった。
なまえは拳を胸に当て、片方の手を床を水平になるように空を切った。まるで悲劇のヒロインかのようだ。


『死んだら人は真逆になると思うの。優しい人は地獄へ、悪い人は天国へ。』


「じゃあ君はどっちに行きたいんだい?」


『天国、かな。』


そう言ってなまえはフフと笑った。だって楽したいもの、と付け足して。


「じゃあ君の創造する天国とやらは、どんな世界だい?」


『ボスとスクアーロとルッスーリアとベルとマーモンがいるところ!』


あ、レヴィもだった!と指を折りながら楽しそうに笑うなまえは当分死なないな、と感じさせられた。特に理由は無いけどね。
元々頭のネジが数本外れているのは知っていた。でもなまえは外れているくらいが調度いいんじゃないだろうか。


「君の天国への出演料はいくらかな。」


『天国のマーモンは真逆になってるからお金取らないもん。』


何処か遠くを見つめながら話すなまえは、本当に楽しそうに笑っている。一体何が楽しいのか。こんな不吉な話題で。それと同時になまえが遠くに感じた。さっきは死なないって感じたのに。


「ほんと、ジャッポネーゼって何考えてるかわかんないね。理解したくもないけど。」


『私から言わせれば、それは褒め言葉だわ。』








超えられぬ壁はない








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別に病んでないです…!
たまにふと思うんです…!

こういう話はマーモンが相手だとしっくりくる。

にしても
タイトルのセンス…!///



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