ぽかぽか気持ちいい気温。花々は咲き、鳥は冬が去ったことに喜びの歌を歌いだす。
――春。そう、春がやって来たのだ。
マーモンとなまえの二人は、この日非番だった。あのとにかく五月蝿い先輩もいなければ、構ってくれアピール全開でしつこい王子、やたら可愛い服を着せたがるオカマもいない。きっとムッツリ雷野郎はボスの所だろうから、私達だけの時間はとにかく静かだった。
『へーわだねぇ…。』
「毎日がこうならいいのにね。あんまり騒がしいのは苦手だし。」
二人はここぞとばかりに、マーモンの部屋のテラスでティータイム。「君になら特別に無料で開放してあげるよ」と言っていたのをしっかり覚えていたなまえは、今の状態を提案したのだ。
『マーモンはレモネードが好きなんだよね。』
「ム、覚えていてくれたのかい?ありがとう、嬉しいよ。」
フードで顔の半分以上は隠れているが、マーモンの表情が和らいだ気がした。つられてなまえも顔が緩む。先程なまえが持ってきたクッキーを食べながら、他愛もない会話をする。
なまえはこの時間が堪らなく好きだった。誰が何をしたとか、ベルがやたらナイフ投げてきたとか、レヴィがジャッポーネの霧の守護者をストーカーしてた(!)とか、本当に他愛もない会話。任務も忘れられて、何も考えなくてもいい。それに目の前には可愛い可愛いマーモンがいるんだもの!
『そうだ、聞いてよマーモン!この間ルッスーリアがね…。』
「なまえ、待って。」
結構高くなっていたテンションのなまえを、マーモンの小さな手の平が制止した。なんだろうとキョトンとした顔でマーモンを見つめると、制止した手でそのまま自分を指差した。
「僕の話はしてくれないのかい?」
…ドキンってした。不覚にもときめいた。目の前にいるのはあの小さくて可愛い可愛いマーモンなのに、なぜだかすごくかっこよく見えた。マ、マーモンの話?本人を目の前にして何を話せば…!
『…えっと…マーモンは…可愛くて、頭も良くて…』
「うん。」
『いつも冷静でいて、お金好きってところも嫌いじゃないし…』
「ありがとう。」
『えっと、それから………あああもうっ!マーモン可愛いしかっこいいから好き!大好き!』
「僕も好きだよ、なまえ。」
どうにでもなれ!
平和で静かなティータイムは、嬉し恥ずかしい思い出の時間になった。
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マーモン女の子だったらどうしよう/^q^\あばば
そして私も恥ずかしい。もうやだなんなのおぉぉ
'11.08.16 一部修正
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