人手不足という理由で、ボンゴレ本部にヴァリアーの幹部がやってきた。それも私の大嫌いな嵐属性のベルフェゴール。さっき着いたばかりのリムジンから降りて、阿保そうな髪をフワフワさせながら、超不機嫌そうな顔でこちらに歩いてくる。


「来てくれてありがとう、ベルフェゴール。」


「お前が来いっつったんだろ。」


「そうだね。でも、時間は守ってほしかったなぁ。」


「だって俺王子だし。」


わざわざ十代目が玄関まで迎えに出たというのにあの態度…!ムカつくことに変わりはないが、悪びれもしないし常識も無いのか!これだからヴァリアーは嫌いだ…。

私は十代目の隣から背後へと移動する。それを見逃すはずがない十代目は、あははと困ったように笑った。


「……誰そいつ。」


「なまえっていうんだ。山本が拾って来たんだけど、まだこの世界には浅くてね。」


リボーンとかには任せられないから、俺が面倒見てるんだと言いながら、十代目は私の頭を撫でてくださった。
そう、私はまだまだ新米。戦力にだってならない。でもボンゴレの歴史やそれに関する情報なら一通り把握している。だから目の前にいるこの男がヴァリアーの幹部であることも、いろいろとぶっ飛んでいることも知っている。


「…まだまだだな、ボンゴレも。先に礼儀を教えろよ。」


「うーん。いつもはこんなことしないんだけどなぁ。」


十代目は困っている。それもそうだ。今まで私はいろんな人に会わせていただいたが、こんなことを、十代目の後ろに隠れるなんてことをしたのは初めてなのだ。ついには「どうしたの」と十代目に心配されてしまった。


『嫌いだから。』


「あぁ?」


『十代目を殺そうとした人なんて、嫌いだから!』


思いっ切り睨んでややヒステリック気味に叫べば、十代目もベルフェゴールも固まってしまった。リング争奪戦は、もう十年以上前の話。十代目もその事に関してはもう許していたし、何を今更と飽きられても仕方の無いこと。

だけど、私は許せなかった。


「あー…そういうこと…。」


「ししっ、何こいつ。超うぜぇ。」


固まっていたのは一瞬で、すぐに理解した二人はそれぞれの思いで私を見る。こ、こんな奴に近づかれたって怖くないんだからな!目ぇ無いし睨まれたって平気なんだからな!

…そうは思っていても、無意識に十代目のスーツを握っていて、手汗も出ている。やはり心の何処かでは目の前にいるこの男が怖いのだ。
ゆっくり近づいてきたベルフェゴールは、両手を隊服のポケットに突っ込みながら、私を見下すように笑顔で言った。


「いつか遊んでやるよ。」










出来れば関わりたくない






「すごいじゃんなまえ!ベルが遊んでくれるって!」


『いや絶対そういう意味じゃないと思いますよ十代目!』





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ベル夢…?

……ベル夢!



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