スクアーロはこの日、ひどく疲れていた。時刻は夜中の2時を回っている。こんな時間まで何をしていたか……簡単に言ってしまえば任務である。職業柄か、大抵はこの時間に終わるのが珍しくもないのだが、今日は疲れた。原因はわからない。いつもより体も重かった。そしてとても疲れているのは確かだった。そんな状況でも任務は無事に終わった。さすがはヴァリアークオリティというやつだろうか。


「(……眠いぜぇ…。)」


歩きつつ義手から剣を外し、きっちりと来ていた隊服をそこら辺に放る。ワイシャツのボタンを三つくらい外したところで、ベッドへと無抵抗のまま倒れ込む。
ベッド考えた奴はすげぇなぁとぼんやり考えていたら、ふと血の香りがした。ベッドに倒れたことで広がった髪からだろう。このままでは朝起きた時にベトベトのゴワゴワになっているかもしれない。

そのまま眠ってしまっても良かったのだが、これは自分で願掛けした髪だ。少し罪悪感とも言えない複雑な気分になったので、シャワーを浴びることにした。
それにもう一人この髪を気に入っている奴がいる。最近ベルが拾ってきたなまえという女だった。命の恩人らしい(本当に気まぐれで拾ってきたから細かいところは分からない)ベルに懐くのは当たり前なのだが、なぜか俺にも懐いていた。そしていつも俺の髪をいじるのだ。

シャワーを終えた俺は再びベッドへと倒れる。髪についてる水分はシーツや枕に吸われていく。寝るとき冷たそうだなぁなんて考えながら、瞼を閉じた。…あぁ…眠れそうだぁ…。

――コン、コン

眠りに落ちかけたスクアーロの部屋に、控えめなノックの音が響いた。誰だ、こんな時間に。眠くてあまり働かない頭で考える。ヴァリアー邸でノックをするのはマーモンかなまえ。そしてマーモンのするノックは体に比例して小さい音だ。それにこんな控えめな感じでもない。
となると……。


「なまえかぁ…。」


『…スク…。』


名前を呼べば勝手に開いた扉。ゔお゙ぉい、まだ入れなんて言ってないぜぇ。だが俺は入ってきたなまえを見てそんなこと言えなくなった。なぜなら、


『…ぅえ、スク、アーロ…ひくっ…。』


「ど、どうしたぁ、なまえ。」


ボロッボロに泣いていたからである。そんななまえは怖い夢を見たとだけ告げた。部屋にあった枕を抱きしめ、何度も鼻を啜っている。俺は重い体を起こして、なまえに近寄る。近くで見れば見るほどひどい顔だぁ。


「ベルはどうしたぁ。」


『寝、てて…っお…起きてくれ、な…。』


言いながらポロリと涙が頬を伝う。俺はこっそりため息をついた。てめぇで拾ったんならてめぇで面倒見ろぉ!と叫びたかったが、今は真夜中。それでボスでも起こしてみろぉ。……後は言えねぇぞ。
俺はまたため息を(こっそり)つくと、ベッドに座って俺の隣をポンポンと叩いた。


「来いよ。眠れねぇんだろぉ?」


『あ……うん。』


ぎこちない動きでベッドに座るなまえ。俺が横になればなまえも横になる。すると小さく「冷たい…」と呟いた。


「あぁ、すまねぇな。さっきシャワー浴びたんだぁ。」


『さっき?じゃあ、今帰ってきたばかりなの?』


「あぁ…。」


まだ少し涙は出ているが喋り方がハッキリしてきた。これなら大丈夫そうだなぁと考えていたら、モゾモゾとなまえが動き、俺の右腕にピッタリとくっついてきた。


『…こうすれば暖かい。』


「……あ、あぁ…。」


だが俺は動けねぇぞ。さっきまですげぇ眠かったのに、なんだか目が醒めてきたじゃねぇか!無知って怖ぇな。こいつはわかってんのかこの状況…!そしてなんでこういう時に薄着なんだよ!
どうする、どうする俺……ってどうもしねぇよ!!


『あの…。』


「な、なんだぁ。」


『私、寝相悪いから…蹴ったりしたら、ごめんね…。』


下から見上げて、赤っ鼻でえへへと笑うなまえに何か入り知恵してやった方がいいのか、どうしたものかと考えていたら、外が明るくなっていた。






鮫の真夜中事件




そして蹴り落とされる鮫。




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なんか設定が
めちゃくちゃ(*_*)


色気のあるイケメンなスクアーロが書けません。どーしましょー。



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