俺の隣で疲れた疲れたと騒いでいるのは、同じ幹部であるなまえ。
たった今一仕事終えた後で、アジトに向かうため木々を渡っている。元々、今回の任務が近場であるのと車では向かえないほどの奥地であった為、その身のみで向かった……のが間違いだった。


『つーかーれぇたーーっスクアーロ先輩ー!休憩しましょうよー!』


「ゔお゙ぉい!!!うるせぇぞぉ!!それに休憩なんてしてる暇ねぇんだよ!!」


『じゃーおんぶしてくださーいっ!』


「あまったれてんじゃねぇ!!」


俺の後ろや横でさっきからこの調子である。勢いよく振り返ってあの間抜けな声を出すペーペーのペーに思いっっきりゲンコツを喰らわせてやりてぇ…!

だがそんなことをしている暇は無い。あのクソボスがコォォォって感じで待ってるんだ。その原因を作ったのも、さっき長い長い休憩を取ったこのクソ女だがな!!


「ってゔぉ゙い!ペース落ちてんぞぉ!!」


『だからさっきから疲れたって言ってんじゃないですかぁー!』


コイツ任務の時はあんなに生き生きとしてやがるくせに…!なまえに聞こえるくらいギリッと歯を噛み締めると、あれ、なんでそこで怒るんですか!?と本気で驚いていた。だから舌打ちもオマケしておいた。


『ひ、ひどいですスクアーロ先輩!こんなか弱い女の子に!』


「ヴァリアーにいる時点でか弱いもあるわけねぇだろうがぁ!日頃から弛んでるからこういう結果が出るんだぁ!覚えとけクソ女!」


『〜〜っベル先輩だって似たようなものじゃないですか!後でベル先輩にもチクりますから!!』


言ってどうするんだぁ。どうせ王子は天才だから関係ないとか言われんのがオチだろうが。ほんとに学習しねぇ奴だな。


『ボスにも言ってやる!任務中スクアーロ先輩に虐められて殺されかけ「ゔお゙ぉい!!話をややこしくするなぁ!!」

そんな報告してみろ!意外と過保護なボス(ここ重要)はコォォォだけじゃ済まさねぇハズだ。俺は明日ヴァリアーにいないかもしれねぇ。

俺は短くため息を吐くと、ダンッと踏み締めて木々を渡るのをやめる。すると当たり前のようになまえも止まる。顔だけ振り返ってなまえを肩越しに見る。息は乱れてはいないが少しだけ肩が上下している。
…ほんとに疲れてやがった。ほんのり頬も赤くなっていて、前髪が汗で顔に張り付いてやがる。
………これだから新人は…。

突然止まった俺を、ただ困惑の目で見つめるなまえ。そりゃそうだろうなぁ。さっきまで急げ止まるなと言っていたのは自分なのに。あの…?と言いかけたなまえの言葉を遮って、俺はまた叫んだ。


休憩終わりだぁぁぁぁ!!!


背後から聞こえた俺の声に負けないくらいの大声でなまえは叫んだ。
その声に、前を行く俺がついつい笑ってしまったのは俺だけの秘密だ。これだから新人は…からかい甲斐ある!




そりゃないですよ先輩!




結局息も絶え絶えななまえを見たボスがキレたのは別の話。




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スクアーロとはこんな関係がいい。兄と妹みたいな。

甘々は書けたら書…く……



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