※なまえちゃん幼少化
※ボスぶっこわれ
※広い心をお持ちください
ザンザスはとりあえず自分の上着でそれを隠した。いや、なんだ今のは。疲れてんのか。ありえねぇ。何がありえねぇって、今のだよ。見てなかったのか?カスだな、ドカスだ。あぁ?だが俺はもう二度と見ねぇぞ。絶対だ。このエクステに誓う。
『ぼしゅ。』
俺の上着から声がしやがった。そしてわすがにモゾモゾと動いてやがる。いいや、幻聴だ、幻覚だ。マーモンの野郎が遊んでやがるんだ。タチがわりぃ。後でかっ消してやる。
『ぼしゅー。』
ていうか何なんだ、この舌ったらずの声は。呂律も回らねぇってか。ハッ、なまえだから仕方ねぇな。餓鬼になってもこんな身分なのかよ。なまえ…だから……
『ぷあっ。ぼしゅ、きゅうにまっくらにしあいでよ!』
「うるせぇドカスがぁーーー!!!!」
『やーーー!ぼしゅこわえたぁーー!』
俺の両手くらいしかねぇのかこの肩!ちいせぇ、何もかもちいせぇぞこのドチビ!俺はとりあえずなまえ(だと思う)を小脇に抱えて談話室へ走った。あいつらなら何か知ってんじゃないのか!?
「おいドカスどもぉ!!」
「ゔおっ!どうした、ボスさんよぉ!」
俺はまったりしてやがったドカスどもにガキになったなまえを無言で差し出した。…空気が固まるってこう言うことを言うのか。おいオカマ、紅茶零れてんぞ。汚ねぇ野郎だ。
『あー!しゅくとるっしゅとべうとまあもんとれびーだぁー!』
一応補足しといてやる。ここはボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアーだ。しゅくとかべうとかそんなメルヘンな名前の奴はいねぇ。いやいたらかっ消してやる。
「ゔお゙ぉい…、それ…まさか…。」
「…驚いたよ、ボス。」
「ししっ、隠し子いたんだ。」
「ちげええぇぇぇぇ!!」
こンのドカスどもがぁぁぁああああ!!何処をどう見て俺の子だと言いやがったんだ!
「あら違ったの?でもレヴィは気絶しちゃったわよ。」
「……俺の…ボスの情報が…不十分だっただと…。」
どんな理由で気絶してやがるんだコイツは!本気で気持ち悪い奴だな!そろそろガチでクビにしてやろうか!…いや、今はそれどころじゃねぇ。
「コイツはなまえだ。よく見やがれ。」
俺の一言で顔を寄せて来る幹部達。待て、ここまで近づかないと気づかないのか、お前達は。なまえは呑気に『よ!』と手を挙げて挨拶しやがる。あぁ頭痛がしてきた。
「あらなまえじゃない。」
「ちっせー。マーモンくらいか?」
「僕よりは少し大きいよ。残念だけどね。」
「ゔお゙ぉいザンザス!こいつぁどういうこったぁ!?」
「俺の方が聞きてぇよ。」
とりあえず誤解が溶けた俺はなまえを床に置いた。そうしたらなまえはよろよろふらふらして、ペタンと尻餅つきやがった。おい、まさか立てねぇんじゃねぇだろうな。
『ん。』
座ったままの状態で両手を差し出してくる。なんだこれは、だっこしてポーズってやつか。俺は目でカスザメを見ると、俺の意思が通じたのかカスザメはゆっくり頷いてなまえを抱っこした。そして満足げに笑うなまえ。ていうか"意思が通じた"とかキメェな。もう絶対やらねぇ。
「スクアーロ似合わねー。」
「うるせぇぞぉ!」
「おいクソ女。なんでこうなった。説明しろ。」
俺はとにかくこの状況をなんとかしたかった。だいぶこの状況に慣れてきた自分にも驚いたが、今はどうでもいい。なまえは人差し指を顎に当てて唸っている。幼い、動作がいちいち幼い。テメェは昨日まで大人だっただろうが!
『んとねー、ゆめにね、かみさまがでてきあの!』
「神様?お伽話とかのかい?」
『ん!』
……メルヘンだなぁ。頭の中はお花畑ってか!落ち着きを通り越して苛立ってきた俺はとりあえず近くの椅子を蹴り飛ばした。
『うそじゃあないよ!』
「あぁわかってる。」
『じゃあなんえ、いすけったの。』
「テメェを信じてるからだ。」
神様を信じた自分にいらついた。後でカスザメを殴ろう。そうしよう。
『いち、にちたてば、もおにもおるってかみさまが。』
一日という単語すら言えねぇのか。いつか舌噛みそうだな。ていうかなんて言ってるのかわかんねぇよ。
「うししっ、じゃあ今日遊びたいホーダイじゃん。」
『やああっほっえつままないれー。』
「マーモンとはまた違う感じのプニプニだな。」
「やめろぉベル!なまえが泣いても知らねぇぞぉ。」
「過保護うっぜー。」
「なんだとぉ!?」
ギャーギャー騒ぎ出したカスどもを放って、俺は談話室を出た。明日には元に戻るのか。なら問題ねぇ。ハッ、この俺様が取り乱してしまった。なかなかやるじゃねぇか、神とやら。
それにしても疲れたからもう寝るとしよう。明日からまた平凡でいつも通りな日常が戻ってくる。
非日常はいかが?
「……。」
『あおね、かみさまが、えんちょーだって、』
「クソがあああああ!!」
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ボスの あつかいに なれてきた ! ▼
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