暗殺。それは任務、それは仕事、それは生きていく為の術(すべ)。その中には快楽を求めるものや自分の欲、苛立ちを発散する者もいる。私はどれにも当てはまらない。なぜなら私が求めているのは、ボスであるザンザスからの絶対的な信頼だからだ。おっと、そこら辺の雷親父と一緒にされちゃ困る。あんな奴と一緒にされるくらいなら自害するわ。いやむしろあいつを殺すわ。
これは恋愛の類ではないと思っている。尊敬、忠実…ボスへの気持ちを述べればそう言った言葉が浮かぶのだから。もちろんボスになんの感情も抱いていないわけではない。あら、矛盾してるかしら。でもボスを思い浮かべれば出てくる言葉は嘘ではない。誠実だ。
「でもよぉ、そーいうのを恋って言うんじゃねぇのかぁ?」
黙りなさい、ボスの眼中にもないカスザメが。何を馬鹿なことを口走っているの、蜂の巣にするわよ、風通し良くするわよ。…撃たないからそんな睨まないでよ。確かに一瞬そういう気持ちもあった。でもそれは昔の事なの。本当に一瞬だったけど、私はこんな気持ち持っちゃいけないって、すぐに振り払ったわ。
「あら、それはどーして?」
どーしてって、相手はボスさんですよルッスーリア。少しでも好きになったら抑えきれないし…。その前に、私はボスに忠実を誓ったの。私はボスの部下なのよ。あの人の下で一生生きていくって、決めたんだから!
「王子だったらそんな誓い、好きになった時点で破っちまうけど。」
それはベルの場合でしょ。私は違うの。誓いを破ったらボスにも幻滅されちゃうかもしれないじゃない。私はボスのことを一番に考えてるの。だから私は今回の任務も成功させて帰ってくるの。ボスからたくさん褒めてもらいたいし!
「ボスに褒めてもらうなど…貴様にはまだ早いのではないか?」
うるさいわね。前にい、ち、ど、だ、け褒めてもらったからって調子に乗らないでくれる?…なによ、やろうっての…。え、うわ、ちょっと!そんな顔して泣かないでよ!あーキモいキモい!近づかないで馬鹿レヴィ!!それ以上近付いたら撃つわよ!私は本気よ!
「…なにしてやがる。」
私とレヴィが廊下で騒いでいたら、突然ボスが現れた。どどどどうしてボスがここに!?それより銃を片手に泣きながら伏せているレヴィを片足で踏んでる私ってどうなの!?ボスは黙って見ているけど、絶対何か誤解されている気がする。
『…に、任務前なので、ちょっと興奮してしまって…。』
「ぶはっ、相変わらずおかしな女だ。」
わ、わああああ。ボスが笑っていらっしゃる…!顔に熱が集中する。と、とりあえずレヴィから足を退かして銃を仕舞わなきゃ…。ってレヴィ、いつまで泣いてんのよ!ボスの前でしょ!
『じ、じゃあ、私はこれで…。任務なので、失礼します…。』
「ああ。気をつけてこい。」
はい!と返事をしようとして止めた。口から空気だけが出た。いやCO2か、いやそもそもどうでもいい。ボスが、私に、気をつけろって……。
『いい行ってきます!』
私はとにかく走った。ボスにこんな緩みきった顔を見られるわけにはいかない。でもニヤける口元は抑えられない。走りながらへへっと笑みを浮かべてしまった時、前方に人影が見えた。
「どうしたんだい?やけにご機嫌じゃないか。」
聞いてよマーモン!ボスが私にね…!って言いかけてやめた。任務から帰ってきたらたっぷり聞かせてあげる!え?遠慮しないでよ。きっと語り出したら止まらないと思うから覚悟しといてね!
それじゃっ!
結局それは恋と呼ぶ
「あのクールななまえが、クソボスの一言でこんなんになっちまうんだからなぁ。」
「どう考えてもねぇ…。」
「無自覚とか一番タチワリィっつーの。」
「ぬうぅ…ボス…!」
「ところでなまえ、なぜ僕のところには相談に来ないんだい?」
『だってお金取るじゃない。』
「……ム。」
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実はさみしいマーモン。
そして末っ子を応援するみんな。レヴィは嫉んでればいいよ←
てゆーか最近こういうパターンだな……むむぅ…。
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