※なまえちゃんどS
※ひどい内容
※苦情は受け付けられません






きっと、何を今更と笑われてしまうのだろう。彼らにとって私の思いとはそれくらいのこと。そこら辺の埃と同じなのだ。そこに在るが、気づいてもらえはしない。
だが私ははっきりと、今でも鮮明に覚えている。説明しろと言われれば、何一つ忘れることなく全てを話すことができる。言った側は覚えていないことを、言われた側は一生だって忘れることはない。それが自分に関連していることならば尚更だ。

だから私は、復讐を誓った。私の心は、あの日、何の前触れもなくえぐられてしまったのだ。それなのに、本人たちは覚えてない様子で、今日もひょうひょうと生きている。不公平だ。神様、私は貴方が嫌いです。


時は夕飯。みんなでテーブルを囲み、いつものようにルッスーリアの望んでもいない「Buon appetito!」で食事は始まる。作った本人が言うというのは、変な気分だが。
皆が今夜のメニュー(と言ってもただの肉料理)を食べる中、私は一人深呼吸。そしてそれを見逃さない王子がいた。


「なに、なまえ食わねぇの?」


「ゔお゙ぉい、食べねぇんなら貰うぜぇ。」


さすがはスクアーロだわ。発想の転換が早い。だけど私も負けてはいません、これは私のお肉です。サッと横にスライドさせて、私のお肉は守られた。


「どうしたの?なんだか元気ないじゃない。」


「具合でも悪いのか?」


「食欲はあるみたいだけどね。」


珍しくレヴィに心配されて少しだけ鳥肌が立った。ああ違う、今はそれどころじゃない。謝らなければならないことがあるの。今夜もおいしいおいしい料理を作ってくれたルッスーリアに。


『ごめんね、ルッスーリア。私、ルッスーリアの料理台無しにしたの。』


私が話せば、一瞬だけ空気が止まった。ベルはフォークを口に含んだ状態で停止している。そんな中、ルッスーリアとマーモンが首を傾ける。


「…どういうこと?別に変な味とかはしないわよ?」


『ルッスーリアとマーモンとボスには、何もしてないもの。』


そう。私は今、復讐をした。
それはちょうど一ヶ月前の今日のこと。忘れもしない、悪夢のような日のこと。

固まっていたスクアーロ達が動き出す。


「どういうことだぁ!てめぇ、俺達のメシに何入れやがったぁ!」


「しししっ、王子にこんなことして、どうなるかわかってんのかよ?」


食事中だというのに、立ち上がりそれぞれ武器を持ち出す。矛先はもちろん私。
何事も起こっていないかのように食事を続けるボスと、オロオロし出すルッスーリアを横目に、私は静かにテーブルに小瓶を置いた。皆によく見えるように。


「ム、なんだい?それ。」


『下剤。』


しかもすっごい強力なやつ、と付け足して、私はニヤリと笑った。二人、いや、三人の顔が真っ青になっていったからである。ああ愉快。真っ青になりながら困惑の表情の三人を見て、私は少しだけモチベーションが上がるのを感じた。


「っテメェ…!なんでこんな…!!」


ほら、やっぱり覚えていない。言った側なんてこんなもの。まぁ人に言ったこといちいち覚えてられないのもわかるのだが、これはつい一ヶ月前のこと。少しは思い出してほしい。


『あなた達は、私を侮辱したの。覚えてる?』


「はぁっ…?何の話だよっ…。」


いつもみたいに笑っているベルに、脂汗が浮かんでいる。助けてなんてあげない。これからもっと苦しめばいいのよ。


「ぬおぉぉぉぉ!!」


……レヴィは脱落したようだ。白目をむきながら走り去って行った。
しかしレヴィには悪いことをしてしまった。実際、今回の復讐にレヴィは全くもって関係ない。ただ私の出来心からレヴィの料理にも混ぜてしまったのだが……うん、後でちゃんと謝ろう。

それにしても、さすがはヴァリアークオリティ。この二人はまだまだ耐えるみたいだ。


「俺、全く覚えてねーんだけど…っ。」


「お、れもだぁ…!」


反省の色無し。まぁこの二人が反省なんてしていたら見てみたいものだわ。


『わからないなら思い出させてあげる。一ヶ月前の今日、あなた達は私になんて言ったと思う?イタリアの紳士が二人揃って、私に向かって「お前の胸は、抉り取られた様なAカップだな」って言ったのよ!?信じられないでしょルッスーリア!』


「えっ!?え、えぇ、そうね…。」


『だから私は復讐を誓ったの!このエセ紳士共に、地味だけどものすごく嫌なやり方で!』


「僕は今のなまえが嫌だよ。」


『苦しみなさい!女の子に向かってそんなこと二度と言えないようにしてやるわ!』


言いながら、私は椅子から立ち上がり二人に向かって走り出した。痛みに集中しているため咄嗟の動きにも反応しきれない二人の目の前に立ち、両手で思いっきりお腹の辺りを押してやる。


「や、めろっ馬鹿!」


「おっ押すなぁ!!」


苦しむ二人を見て笑う私を見て、ルッスーリアとマーモンが引いているのを肌で、視線で感じた。それでも私はやめない。私の心の傷は、こんなもんじゃないんだから!!









女をなめるな!





二人が部屋を逃げるように出て行った時、ボスが静かに食事を終えた。




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ひっでぇ内容だ!
だがそれをアップする私もひっでぇ!



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