自室でやりたくもねぇデスクワークをしていた昼過ぎのこと。ボスさんの機嫌を損ねないような言葉を探していた時だった。(まぁ何を書いたところで、物が飛んでくるのは違いないのだが)
『すーくーあーーーろーーー!』
馬鹿みたいな腑抜けた声で俺の名前を呼ぶ、なまえの声がした。廊下からではなく、窓の外から。何事かと思ったが、俺は今暇じゃねぇんだ。それにあいつと関わってたらロクな目にあわねぇ。無視だ無視。
『すくちゃぁぁーーーん!』
懲りない女だ。1回無視決めたら、とことん無視だ。ちなみに俺の名前はスクちゃんじゃねぇ。
『すくたーーん!』
無視。
『スペルビさーん!』
…無視だ。
『あーろちゃぁぁーん!!』
「ゔるっせぇぇぇぇぞぉおお!!!カスガキがあ゛ぁぁぁぁぁ!!!!」
無視すると決め込んでいたのに、あまりにもうるさいので俺もつい叫んでしまった。つーかあいつの中で俺の呼び名は何パターンあるんだよ。どれもタチの悪ぃものばかりだが。
窓を開けたことによって、冷たい風が部屋に侵入してくる。
『あっ、アーロちゃんやっと出てきたぁー。』
「テメェもっかい呼んでみやがれぇ!三枚におろすぞぉ!!」
窓の縁に足をかけて剣をブンブン振って威嚇すれば、なまえはアハハと笑って怖がるふりをした。くそっ、完全に向こうのペースだ…。
もう一度威嚇してやろうと窓から身を乗り出そうとすると、目の前を何かが落ちていった。ゆっくりと、白い何かがふわふわと。
『雪だよーっ!スクアーロも出ておいでよー!綺麗だよー!』
庭で楽しそうにクルクルと回りながら、雪が降ったことにとても喜んでいる。どこまで愉快な奴なんだ。呆れを通り越して哀れになってくる。
隊服のせいだろうか、なまえの周りだけ、やけに雪が映える。
「俺はテメェみたいに暇じゃねぇ。1人で遊んでろぉ。」
先程までの怒りも一瞬にして冷えて、冷静を取り戻した俺は期限が近付きつつある書類を思い出した。くるりと踵を返すと、外から再び声が聞こえた。
『えぇー!?つまんなーい!早く暇になってよー!』
「…ゔお゙ぉい…。」
むちゃくちゃ言いやがる。さすがはベルと同じような暮らし方をしてきた我が儘娘だ。顔だけ振り返れば、隊服の裾を掴んで ふてくされているなまえ。寒さのせいか、鼻先が少し赤くなっていた。
俺は盛大にため息をついて、そして叫んだ。
「この雪が積もったら遊んでやるから、それまで我慢してろぉ!」
たった数分の約束
『スクアーロ!積もったから遊ぼ!』
「ししっ、センパイがマトな♪」
「雪の中に石を詰めてもいいか?」
「まっ、レヴィったら陰湿なんだからっ!」
「カス、避けたら殺すぞ。」
「…ゔお゙ぉい……!!」
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久しぶりのスク夢はこんな感じになりました…。
少しゴミ溜めに送ろうか迷いましたが、こっちに置いておきます。
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