みなさん始めまして。私はボンゴレ本部から派遣されてここに来ました。ちなみに今はヴァリアーの屋敷の前です。えぇ物凄く緊張しています。
ヴァリアーが人手不足になるのは今に始まったことではないので、こうやって本部から派遣されるのは珍しくはない。
……珍しくはないのですが、まさか私が派遣されるとは思ってもいなかったのです。だって私、イタリア語わかりませんから!

純血な日本人である私にとって、日本を出たのは今回が初めてであります。あぁ、ボンゴレに帰りたい。山本さんの元に帰りたい。

しかし私は、ボス沢田に逆らえるはずもないわけです。あの爽やかな笑顔の裏には絶対ドス黒い何かがあるので、私は黙って頷くしかないのです。

えぇい、いつまでもこんなところでモヤモヤしている場合ではない!とっとと入ってなるべくヴァリアーの皆々様には関わらないようにしていこう。そうしよう。中にいるのはみんな外人さんなんだろうな……


「Differenti, quello che ho.」
(貴様、何をしている。)

『ぎゃあぁ!』


さ、叫んでしまった。思わずだ。不可抗力だ。許してください。
この人知ってます、ヴァリアーの雷の守護者であり雷撃隊隊長でもある、レヴィ・ア・タンさん。知ってます、資料で見ましたから。でも資料よりも結構迫力ありますね…!


「Anche se ho sentito dire che non è niente?」
(何者だと聞いているのだが?)


うわぁ傘突きつけられた。何を言ってるかはサッパリだけど、きっと怪しまれているんだろう。
ご、誤解を解かなければ!


『あ、あの、私ボンゴレ本部から派遣されてきました…なまえといいます…。』


睨まないでください、嘘はついていませんから。ヴァリアーの皆様は7ヶ国語を習得済みだとボス沢田に聞いているので、今の私の言葉が通じていないわけはないはず。


「……あぁ、貴様か。話は聞いている。ついて来い。」


レヴィ・ア・タンさんは、ガサリと背中に傘を刺し戻すとさも興味なさげに呟いた。そして、今回のは頼りなさそうだ、と聞き捨てならないセリフを吐いて歩き出す。
なんとか誤解を解く事が出来たのだが、そのセリフまで日本語で言わなくてもいいじゃないか!荷物くらい持ってくれてもいいじゃないか!英国紳士が聞いて呆れるわ!

………と、散々心の中で文句を言いながら、私は必死にレヴィさんの後について行く。(やっぱり外人さんって足長いわ…)

歩くこと数分、一つの扉の前でレヴィさんは足を止めた。


「この部屋で待っていゴフゥッ!」


飛んだ。
他に説明しようがないほど、レヴィさんは綺麗に飛んだ。きったない唾を吐きながら。
扉のドアノブを掴もうとしたら、扉ごと開いた。しかもその扉の上には、まるでサーフボードの様な乗り方で立つベルフェゴールさんがいた。一目でわかる、あれはベルフェゴールさんだ。
あ、もちろんレヴィさんはその扉の下である。


「Hey! Aspetta Bell!」
(ちょっとぉ!待ちなさいよベルちゃん!)

「Non aspettare, perché sono Anne ...... Prince? Beard 's non è vero? Scherzi a parte disturbato.」
(待たないよ、だって俺王子……あん?ヒゲなんしてんの?マジ邪魔。)


扉の上で数回跳ねてから、ベルさんは下にレヴィさんがいるのにようやく気付いた。そして何故かレヴィさんが責められている。言葉はわからなくても、あれはきっと責められている。
ヴァリアーは予想以上に理不尽な所だ。


「Che cosa ...? Chi sono U?」
(…ん?アンタ誰?)


…おっと、ベルさんと目が合いました。たぶん「テメェどこのモンじゃわれー」ぐらいに言われたと思います。だってナイフちらつかせながら近づいてくるのですから。とにかく怖いです。そのゆっくり近づいてくる感じが怖いです!


「Oh, devo Bell. E 's il comando che è stato inviato dal quartier generale di questo bambino.」
(あら、ダメよベルちゃん。この子本部から派遣されて来たコだわ。)


「Spedizione? Quello che ho sentito bene e.」
(派遣ー?何それ聞いてねぇし。)


「Questa mattina, ho detto. Quando si mangia la mattina a colazione.」
(言ったわよ、今朝。朝ごはん食べてる時にね。)


「……… Non lo so.」
(……知らねー。)


ベルさんを呼びとめたのは、ルッスーリアさん。ヴァリアーの皆さんは、一度資料を見ただけで思えられるほどインパクト大なので、私の目の前にいるのが誰なのがわかる。いきなり目の前に揃ったのがヴァリアーの幹部の皆さんだっていうこともわかる。ああだんだん足が震えてきましたよ!

ベルさんと一言二言話し終えたルッスーリアさんは、今だ扉の下敷きになっているレヴィさんを指さして何かを呟いた。それにベルさんは抗議をしていたが、ルッスーリアさんは全スルーで私の方へ歩いてきた。


「Ciao!日本語で話せばわかるかしら?」


もうそれは羽ですと言いたいくらいのファーをふわりと翻(ひるがえ)しながら、ルッスーリアさんはとても優しい笑顔を私に向けた。うわああ…ルッスーリアさんってこんなふうに笑うんだー綺麗だなーなんて、思わず見とれてしまった。


『日本語で大丈夫です、というか日本語でお願いします!』


「わかったわ。ふふっ元気な子ね〜。」


頬に手を当てるときに小指を立てるのを忘れていないところを見ると、私より女子力がありそうな気がした。まぁ、なんというか、見た感じから負けている気がするが。


「今から貴方のお部屋へ案内するわ。その重そうな荷物を一旦置いてから、ボスのところへ挨拶に行きましょっ。」


貴方可愛いからきっと大丈夫よ〜と、ルッスーリアさんはクネクネしながら言った。その動きも気になったが、その前の言葉もとても引っかかる。聞こうと思ったが、ルッスーリアさんはすでに歩き始めてしまっていた。

慌てて後を追おうとした瞬間、扉のバキッという音と同時にレヴィさんの低いうめき声が聞こえてきたが、私は振り返らずに歩き出した。











離さねぇから覚悟しろ









「…ボスに害を及ぼす者だった場合俺がこの手で……」


「…オイ。」







---------------


これ書くのに2か月くらいかかりました(笑)

これはまだ続きますー。なんだか長くなりそう。
気長に書いていこう。長いっつっても三話くらいかなー。
前篇・中編・後編みたいなね!←



← →



[Back]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -