※なまえちゃん少しあほの子





前に、スクアーロの前髪が顎下まで伸びてきていたので切ってあげようとしたら、めちゃくちゃ怒られたことがあった。どういう理由かは知らないけど、それを任務中に思い出してしまったことで気分は最悪。アジトに帰ってきて早々に私はベルに愚痴った。そしたらベルは少し呆れて、


「は?お前勇者だな。」


と、けなされたのか褒められたのかよくわからない言葉が返って来たわけで。


『え、それはどういう意味デショウカ?』


「スクアーロはな、髪に願掛けしてるんだぜ。思考が乙女だからな。」


自分の前髪を指差しながら、得意げに笑うベル。それは自分もという意味なのだろうか。ベルの前髪の謎よりも、私は今すごいことを聞いてしまったのかもしれない。
つまり、スクアーロって脳内が常にお花畑状態ってことなのかな…。つまり、スクアーロってボスのことをそういう目で見ていたりするのかな…。つまり、本当はファンシーな物が好きなのかな…。


『……ベル!今度の誕生日に何あげるか決まったよ!ありがとう!』


「は?ちょっと待っ…。」


今までがさつで乱暴で暴力的なスプラッタな奴だと思っていたけど、意外と単純でわかりやすい奴だったんだな!
わかったのなら善は急げだ。ベルに呼び止められたような気がするけど、ナイフ投げて追い掛けて来ないってことはそんな大した用事じゃないみたいだ、うん。
次の任務まで時間も無いし、とにかく買い物に行かなくちゃ!あ、後でルッスーリアにも報告しよーっと。


「……マジ、なんであいつジョークとか通じねぇかな。しししっ。」







さて、いよいよスクアーロの誕生日!スクアーロって何が好きかよくわからないから(世界中の剣はは好きみたいだけど)毎年毎年、何をあげようか頭を抱えてたんだよねー…。でも今年からはもう迷わないよ!早速渡しに行こうかな!


『ciao!Buon Compleanno!スクアーローーッ!!』


「ゔお゙お゙ぉい!!人の部屋の扉蹴破んじゃねぇ!!」


絶対大声で文句言われると思ったから、負けないように大声で突入したのに、"ゔお゙"の時点で負けていた。何なんだこの鮫は、何なんだこの脳内お花畑な鮫は。


「…あ゙?compleannoっつったか?」


『そうだよ!英語で言えばbirthdayだよ!そういうわけでおめでとスクアーロ!』


私が普段しないようなとびっきりの笑顔で祝いの言葉をかけてやっているといのに、目の前のこいつはゲンナリしている。何故だ。


「なまえ、てめぇその手に持ってやがるファンシーな袋は…。」


『プレゼント!』


「だと思ったぜぇええ…!!」


聞いてきたから答えてやったというのに、スクアーロはゲンナリを通り越して真っ青になっている。何故だ。ファンシーな袋の何がいけない。お前も好きではないのか?


『ほらっ、開けてみてよ!スクアーロが好きそうなやつみつけてきたんだから!』


「お゙、お゙ぉ…。まぁ、礼は言うけどよぉ…。」


任務中の姿からは想像できない、恐る恐る手を伸ばして袋を受け取るスクアーロ。さっきの勢いはこのファンシーな袋一つで奪われてしまったのか。


「なんだか…柔らけぇモンが入ってるぜぇ……あ゙!?」


『可愛いでしょー!テディベアだよ!首のタイはスクアーロっぽく青にしたんだよ。』


少し茶色が濃いめのふわふわしたテディベア。元から座っている形で、片腕が少し上がっている。やぁ!って感じにも見えて、うん、どこからどう見ても可愛い!


『目の色はボスと同じ赤なんだよ!スクアーロ、ボスのこと好きだし、気に入って…』


「気に入るかぁあ゙あ゙ぁ!!」


べしーんっ。そんな音が響いて、目の前でテディベアが跳ねた。座るように突き出された両足が伸びるほどの衝撃で。というか、え、あれ?


『な、なにすんのよ!』


「俺にそんなファンシーかつメルヘンなモン渡すんじゃねぇ!喜ぶとでも思ったかぁ!?」


『思ったよ!だってスクアーロって思考が乙女なんでしょ?』


両手を拳にして顎に当て、きゃっ恥ずかしい!みたいなポーズで私が言えば、ヒステリックになりかけていたスクアーロはピタリと動きを止めた。なんだなんだ、忙しい奴め。


「…誰だぁ…そんなこと言った奴はぁ…!」


『金髪で自分のこと王子とか言ってる奴。』


息継ぎ無しで即答してやれば、スクアーロは扉を破壊してまで走り出した。たぶんベルの所だろう。
それよりもスクアーロ、さっき私に対して一番最初にキレたことを思い出そうか。

部屋に一人残された私は、床に転がったテディベアをそっとテーブルに置いてルッスーリアの部屋へ向かった。


後日、スクアーロの思考が乙女事件(仮)はベルに騙されていたのだと知り、恥ずかしさでいっぱいの私はとりあえずベルをボコボコにしておいた。
そして例のテディベアは、スクアーロの部屋にちょこんと飾られている、らしい。










忘れられないバースデー






そんなスクアーロも好きだよ?




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遅くなりましたスク誕ですううう!!今まったく申し訳ない…。しかもギャグも久しぶりだからぐだぐだっていうね…。

でもいいんだ…書ききったから…!←




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