※現代フラン
※幼なじみ設定
なまえの唯一の友達は、本人が幻覚で作った林檎を頭で被った、それはそれは変わった男の子だった。名はフランと言う。エメラルドグリーンの髪と瞳が綺麗なのだが、そこから発せられる毒舌は一級品だった。それから、少しだけ性格も歪んでいるようで、一人で遊ばせてしまうとロクなことがない。この前海まで回収しに行ってやったのは誰だと思っているんだ。
いつもの遊び場。川の上流に、例の林檎頭はいた。
『フーランッ。今日もグレてんのー?』
「……またアンタですかー?」
フランはどこにいても見つけやすい。それは体とは不釣り合い過ぎる大きな林檎のお陰なのだが。
「相変わらずミー以外に友達いないんですねー。あーカワイソウ。」
『本気で思ってないくせに。フランだって友達いないじゃない。私以外。』
「そんなことないですよー。ほら、ミーの肩にいるこのリスが今日から友達ですー。」
『それ、幻覚でしょ。そんな模様のリスなんて見たことないわ。』
「…チッ。」
フランは悔しそうに舌打ちして(でも表情が変わんないから分からないけど)、肩のリスを消した。サラサラと霧のように消えていくリスを見ながら、私は静かにため息をついた。
『そんな偽物より、本物と遊ぼうよ。ほらっ!』
「うわっ。ちょっと、いきなり水かけないでくださいよー。」
フランの気持ちは、最近読み取れるようになってきた。本当は寂しいのだと、あの作り物のリスが、林檎頭がそれを主張している。……まぁ、私の勝手な解釈だけど。
『やさぐれフランー!今日のおばあちゃんのお弁当はー?』
「まっずい卵焼きでしたー。」
お互い水をバシャバシャ掛け合って、ここにいないおばあちゃんの悪口を言う。これも日常。
だがフランは突然、ピタリとその手を止めた。そういえば、と口が動く。
「ミーこの間、妖精見たんですよー。」
『……は?』
「パイナップルの精とか虫歯菌とか。」
フランの気持ちは読み取れるようになってきた。そうだ、そういえば、なんで気づかなかったのだろう。最近林檎頭が、小さくなってきている。
「面白そうだったんで、ミーそっちについて行くことにしましたー。」
なまえとこうやって遊ぶのも、これが最後ですーなんて言いながら、フランは私に水を掛けた。嘘をついていない、真っ直ぐな瞳で私を見つめてくる。
だけど私は、それに仕返しすることが出来なくて――。
『…そっか!フラン、本物の友達が出来たのか!良かった良かった!』
私はもう一度、フランに水を掛ける。全身びしょ濡れで良かった。私が泣いてるなんて、バレてないようだ。
さよならが言えて良かった
次の日、いつもの遊び場へ行くと、その姿は消えていた。私はその場に座り込むと、手に持っていた林檎を泣きながらかじるのだった。
『(元気でね。)』
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ほのぼのにしようとしたら、シリアスになってしまった…!なんたる失態…!
そしてまた"フラン書けない病"が再発。ぬおぉぉ!強敵だフラン…!
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