ああどうしよう。どうしたらいいんだ。なまえは一人、談話室で頭を抱えていた。隅のテーブルに置かれているカレンダーの日付は11/13。いちいちいちさん。そう、これは暗号などではない。明日は、大切な大切な記念日なのだ。


「な、なんだぁ?この重たい空気は……。」


そこへ、少しだけ空気の読めないスクアーロがやってきた。それに気づいたなまえは、助けてと言わんばかりに振り向いた。


『しゅくあ゙ぁろおぉぉ!』


「お゙わっ!きったねぇ顔だなぁ!」


考えに考えたが思いつかず、涙と鼻水でボロボロになってしまったなまえの顔を見て、スクアーロがトドメの一言を刺す。なまえはソファーにパタリと倒れ込んだ。


『明日なの明日!どうしたらいいの!結局何も思いつかない!』


溢れ出す涙は止めず、天井に向かって吠える。明日。そう、明日なのだ。大切な大切な記念日は、後数時間後に訪れてしまう。


「気持ちが篭ってりゃあ大丈夫だろぉ。」


『ボ ス の 気持ちが篭ってればね。それ以外は眼中にないもの。あげたって捨てられるのがオチだわ。』


「じゃあ気持ちだけやれば、」


『嫌!何か形に残したい!』


めんどくせぇなぁと、スクアーロが頭を掻いた。女ってのはどうしてこう、発想がメルヘンなんだ。愛だの証明してほしいだの。ややこしいったらありゃしねぇ。


「なぁ、あいつのどこが良いんだぁ?」


『どこって……。』


そこまで言って、なまえは思考を止めた。あの人の何処が良い?そういえば、あまり考えたことはなかった。
だけど、ボスの怒りのように、尽きることのない忠誠心に魅せられ、惹かれたのは事実。でもそれだけじゃない。もっと、こう、なんていうか、具体的に……。


「……ゔぉ゙い、なまえ?」


『スクアーロ、人間大事なのは中身なんだよ。あ、少しは見た目も大事だけど。』


「…はぁ?」


『好きになった相手に、理由なんていらないの!』


なまえはガバッと勢いよくソファーから飛び起きる。スクアーロはその行動に驚きつつも、何処かごまかされた気がして、あまり納得は出来なかった。


「…んで、結局渡すもんは決まったのかぁ?」


が、めんどくさくなったので、ごまかされることにした。


『決まってない!あああどうしようぅぅ…!』


振り出しに戻るとはこの事か。スクアーロは静かに溜息をついた。


「言うだけ言ってやれ。それだけでもだいぶ違うぜぇ。ついでに抱き着いてこい。」


『物があるのと無いのでもだいぶ違うわよ。あとそんなノリで抱き着いたりできません。』


「あいつの中身が全てボスさんなわけねぇだろぉ。一ミリの隙間を狙ってこい。」


『当たって砕けてこいって意味?それにあの人の中身はボスと霧の女の子でいっぱいよ。』


「最初から諦めてんじゃねぇよ。さっさと行ってさっさと抱き着いてさっさと砕けてこい。」


『なんで玉砕前提で行かなきゃいけないのよ!というかそんな気持ちで励まされたってやる気無くすわ!』


「てめぇがいつまでもウジウジしてるからだぁ!俺はまどろっこしいのは嫌いなんだよぉ!」


『そんなの知らないわよ!それに私の気持ちはそんなホイホイ吐き出せるほど軽いものじゃないわ!』


「じゃあその気持ちってやらを今言ってみやがれ!どれくらいのもんか聞いてやるぞぉ!」


『心遣いどうもありがとう!じゃあその耳でちゃんと聞いてよね!…私はレヴィの事がヴァリアーいち…世界一大好きなんだからぁぁぁ!!』


なまえがそこまで言いきった瞬間、スクアーロは満足そうにニヤリと笑った。それに一瞬ひるんだなまえに対し、スクアーロは談話室の扉へと駆け出し、そして――


扉を斜めに切り払った。

大きな音をたてながら崩れ落ちた扉の向こうには、今最も会いたいけれど、会いたくもない相手がいて――


「……なまえ…。」


『レ、ヴィ…。』


きっとお互い同じぐらい真っ赤なのだろう。砂埃が漂う中、談話室の中央にある振り子時計が、十二回鳴って時を告げた。


『…B,Buon Compleanno.』


「…Grazie….」


それからなまえは気を失った。










当たったら粉々でした






「ゔお゙お゙ぉい!!大丈夫かぁ!?」


『し、幸せすぎて…死ぬ。』


「俺の誕生日に死ぬんじゃない!」




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レヴィたん誕生日おめでとう!間に合って良かった(^^)

ずっとずっと大好きだよレヴィたんーーっ!



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