※なまえちゃん病んでます。
※かなり暗めです。
※けっこうグロいと思います。
※ハムスター好きな方は読まないことをオススメします。
※覚悟して読んでください。
※グロい所は私の想像なので信じないでくださいね。










私は毎日怯えている。こんな職業に就いていながら、仲間を殺されたマフィア達に復讐されないか震えている。こんなところにいながら、かなり臆病な私は、人を殺すのに未だに抵抗がある。

怖い。

ただひたすら命を請う相手に、震える手でとどめを刺す。死んで動かなくなった相手を何度も何度も刺して、グシャグシャにして、骨は全て砕く。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。私も任務だから、死にたくないから、復讐しに来ないで。そう願っては内蔵を潰す。喋れないように口から顔を半分に別ける。


「うっへぇ。なまえ、まーたやってんのかよ、くっせぇからやめろよな。」


『…こうしないと……眠れないから…。』


赤黒く染まった相手の剣をカランと落として立ち上がる。ベルは私が怖がっていることを知らない。ただの狂った女とでも認識されているかもしれない。

怖い。

彼らは殺したはずなのに、夜になると私の背後に立っている気配を感じる。殺した、はずなのに。もちろん振り向いたって誰もいない。そして彼らは私の夢に出てくる。飛び起きたのはもう何度目か。怨まれるのは仕方がない。

でも、怖い。


今日も任務で、ターゲットを殺して、いつものようにグシャグシャにする。これは胃?肝臓?教科書は嘘つきだ。人間の中はみんな同じ色をしている。骨が白いのは綺麗なときだけ。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。だから私について来ないで。夢に出ないで。あぁ、これはどこかしら。



いつしか表情は消えた。スクアーロやベルは、無表情で過ごす私を気味悪がった。人を殺すときに、ご飯を食べるとき、会話をするときだって、同じ仮面を被っているような、ただの人形のようになっていた。

私はただ怯えていた。震える手で頭を押さえ込んで。心の中でずっと叫んでいた。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。殺してごめんなさい。よくわからない形にしてごめんなさい。




いつだったか、スクアーロが私にハムスターをくれた。真っ白で長毛で、丸くて黒い目が可愛かった。私はその時どんな顔でスクアーロにお礼を言ったか覚えていない。

夜が来ると、その子は動いていた。カラカラと騙されながら走り、与えられた食事を食べ、時々箱の中を走り回る。その音は、その子が生きている証拠だった。音もなくただ背後に立っていたり夢に出てくる彼らとは違った。夜なのに音がする。生きてる音がする。不思議な気分だった。

その子と過ごしていて、少しだけ気分が晴れた気がした。彼らは死んでいる。傍に立っているだけ。何もしない。何も出来ない。死んでいるのだから!


「ししっ。最近なまえのやつ前より明るくなったんじゃん?ハムスター効果ってやつ?」


「前みたいにはいかなそうだがなぁ…。なまえに何があったのか分かるまで、様子見だぁ。」




その日はなんだか寝付けなかった。任務の後で、たくさん殺して、たくさん潰して、まだ興奮していたのかもしれない。
カラカラと、その子の音がした。視線をやれば、必死になって走るその子の姿があった。ただ前を見つめ、動く限り手足を動かし、必死に必死に、走り続けている。
気づいたら私はその子の傍に来ていた。入口を開けて、手に乗るよう差し出せば、こちらに気づいたその子は何も警戒せずに乗って来た。
この数ヶ月でだいぶ懐いた。私の手の臭いを調べた後、何も話さない私の顔を不思議そうに見つめてきた。変な気持ちだ。この子は無表情なのに、"不思議そうに"だなんて。

私はその子の体を両手で握ると、左右に思い切り引っ張り、引きちぎった。何とも言えない音がして、その子は死んだ。想像以上の血の量が服に染み込んでいく。あぁ、この子は生きていたんだ。丸くて黒い可愛い目は、力強く握ったせいで飛び出して揺れていた。真っ白な毛は赤くなった。温かくてピクピクと動いていた体は次第に止まり、冷たくなった。あぁ、この子は死んだんだ。

私はこの子の傍にいたけれど、話し掛けたりしたことはしたことなかった。ただ部屋を掃除して、ご飯だけ与えて。音がしない私は、この子にとってどう見えていたのだろうか。死んでいたのだろうか。


二つになったこの子を抱きかかえて、私は窓から飛び降りて庭へ向かった。せめて埋めてあげようと思った。今まで殺してきた彼らにはそんなこと微塵も思わなかったのに。
両手で土を掘る。爪に入るが気にしない。変な気持ちだった。土を掘る度に、苦しくなった。いつの間にか視界がぼやけて、私は泣いていた。手で擦ってみたが、顔が汚れるだけで止まらなかった。

この子はこんなに小さく、二つになってしまったのに、私は深く深く穴を作った。そしてまた、あの言葉が繰り返される。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。殺してごめんなさい。夢に出てこないで。

でも、不思議と怖くなかった。

その子を埋めて、裸足で屋敷に戻る。涙は止まらず、服は血だけらで、泥だらけで。なんて恰好だと、おかしくて笑った。


「ゔお゙お゙ぉい!!てめぇこんなところで何………なまえ、何か…あったのかぁ。」


『……ごめん、スクアーロ。……ハムスター、死んじゃった…。』


スクアーロは服に染み付いた血と泥だらけの手、止まらない涙を見て何か悟ったのか、そっと抱きしめてくれた。スクアーロはあったかかった。生きている音がした。


『…っゔ……ご、ごめん゙なざい…。ごっ、め、なさ…。』


声に出して泣いたのも、声に出して謝ったのも初めてだった。いろんな感情に押し潰されそうで、助けてほしくてスクアーロの服をとにかく握った。スクアーロは抱きしめる力を強くした。苦しかったけど心地好かった。私の体は冷たくなかった。











壊れるまで叫び続けていた







-------------

ヴァリアーってなんだろうって改めて考え直すとこんな話ばっか思いつく。


あ、私は別に病んでないです。



← →



[Back]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -