※白蘭戦から平和な毎日
※マーモンもいるよ
※みんななまえちゃん大好きだよ
※無駄に長いよ






事の発端は、ルッスーリアが談話室に飛び込んできたのが始まりだった。いや、飛び込んできたというよりは、飛ばされてきたという方が正しい。だって後ろ向きで飛んで来たのだから。
その光景を見た私とスクアーロはコーヒーを吹き出し、レヴィとベルは口を開けたまま固まるし、フランとマーモンは……まぁいつもどおりだったけど。とりあえず口周りを拭いた私はルッスーリアに駆け寄る。


『どうしたのルッスーリア!侵入者!?』


「んふ…大丈夫よ…。ボスの機嫌が、悪いだけよ…。」


言い切ったルッスーリアは、はぁっと息を吐いてゆっくりと起き上がりはじめた。赤い頬が次第に膨らんできて、とても痛々しい。


「これは厄介だね。」


「堕王子が何がしたんじゃないですかー?」


「ぶっ殺すぞ。」


「ゔお゙お゙ぉい!!うるせぇぞクソガキ共ぉ!!」


スクアーロに対して、あんたが一番うるさいというツッコミはもう五年前くらいにやめた。言ったってキリが無いし。
それよりも、なぜボスの機嫌が悪いのか、だ。ルッスーリアに聞こうとしたら、顔に影が出来た。ん?影?


「お、噂をすれば。」


ベルがciao!なんて呑気に挨拶しているが、私は振り返ることが出来なかった。なに、この、すっごい重たい殺気は。私冷汗ダラダラなんですけど。なんでフランまで挨拶してるわけ。普通じゃないとは思ってたけど空気も読めないのか。

い、いや、でもボスのお出ましなんだし、一応挨拶だけでもしておくべきなのか?痛いくらいぶつかってくる殺気で上手く思考が回らない。ベルやフランが挨拶したんだし、私もしなきゃ。ほら、レヴィも頭下げてるし……し、失礼だよね。よ、よし、振り返って挨拶し……


『いだだだだ!!』


痛い痛い!ボスが私の頭わしづかみしてる!しかも握力ハンパない!前からだから何も見えない!ていうかなんで私!?本当に痛い!私の頭蓋骨もたない!


「明日、此処に沢田綱吉と守護者が来る。」


私がボスの手首を掴んで暴れていたら、低い低い声で一言だけそう言った。え?と思って指の隙間からボスの顔を見れば、眉間のシワが三倍で瞳孔も開いていた。ちょ、こええええ!!ボス落ち着いて!そのままコオオオとかしないでね!


「え、マジかよ。最悪ー。」


「き、霧の女も来るのか…!?」


「…てことは、師匠もですかねー…。」


それぞれが本音をぽつりぽつりと漏らす。じゅ、十代目と守護者達か…白蘭の時以来だな…。みんな元気だったかな。まぁボスが相当苛立っているということは、元気なんだろうけど。


「てめぇは沢田達に会うな。」


『え?なんで…痛い痛いいい!!』


ボスの言葉に返事を返せば、緩んでいた握力がさっきよりも強くなって帰ってきた。マジで痛いですボス!こめかみだけはやめてくださいいい!!


「てめぇらもわかったな。あいつらに絶対会わせるんじゃねぇ。」


「はぁーい。」


「わかったわぁ〜。」


『痛いぃ痛いよボス!私も会わないからあああ!』


「ボスのご命令ならば…。」


「了解ですー。」


「わかったよ。」


『へこむっ!こめかみへこむ!』


「いい加減離してやれぇ。なまえ泣いてるぞぉ。」


ボスはスクアーロの言葉でハッとしたように私の頭から手を離した。(ハッとって…。)私はすぐにこめかみに両手を当てて、その場にしゃがみ込んだ。とりあえずへこんではいなかった。

ボスは私達を見た後フンと鼻で笑い、何事も無かったかのように談話室を出て行った。出るときに扉を蹴って壊したが、ツッコんだら殺される気がした。


「ボスも不器用よねぇ…。」


「まったくだよ。」


「ただ単に過保護過ぎるだけだろぉ。」


「ボスにチクってやろーっと。ししししっ。」


「今はやめろ!本気でやめろぉ!」


嵐が去ったので騒ぎ出すみんな。私はというと、フランとレヴィにこめかみに指の跡が付いていると笑われていた。
…てゆーかなんで会っちゃダメなんだろ。引きこもりはつまんないのに……あーあ。







次の日。私は自室のベッドの上でゴロゴロしていた。二時間前くらいに沢田達の声がしていたので、もう話し合いは始まっているのだろう。そこから入るのは気まずいし、それより会うなというボスからの絶対的な命令が出ている。
しかし暇だ。今がチャンスとばかりに提出する書類をやったのだが、元々そんなに無かったためすぐに終わった。いらない紙に落書きしてみたけど飽きた。何かないかな…。
あ、そうだ。スクアーロの部屋から木刀借りて素振りでもやってよう。こんなにダラダラしてたら体が鈍(なま)ってしまう。
私はゴロゴロしていた分、勢いよくベッドから起き上がる。目的が決まるとなんとも世界が変わることか!軽い足取りでスクアーロの部屋へ向かう。ついでに悪戯してやろうなんてニヤニヤしていたら、話し声が聞こえた。……なんだろう。この部屋からだ。あれ、ここって……


「ぜんっぜん話が進まねぇ…!」


会議室だ。それにこの声、ボンゴレ嵐の守護者、獄寺は……なんだっけ。まぁいいか。それにしてもここの会議室使ってたんだ。そりゃあ私の部屋まで声が聞こえるわけだ。


「いい加減にしてよね。僕らだって暇じゃないんだ。」


「そっちがその気なら、無理矢理にでも連れて来るぜ。」


「へぇ、王子とやろうっての?」


「ダメだよ獄寺くん。雲雀さんも落ち着いて下さい。」


「てめぇもだ、ベル。」


「チッ!」


…なにやら物凄くもめているようだ。思わず私は扉に耳をくっつけて、盗み聞きをしてしまっている。ボスにバレたら本当に消し炭にされそうなので、今までやったことないくらい気配を消した。呼吸も浅くなる。


「なぁXANXUS、俺は幹部全員を呼んでって言ったよね。」


「……あぁ。」


「なのになぜ、なまえはいないの?」


「任務でいねぇっつってんだろぉ。変わりにマーモンを連れてきたんだから、それでいいじゃねぇかぁ。」


「今はXANXUSに聞いてるんだよ、スクアーロ。」


えええ私の話してたの!?もしかして会議しないで二時間も私の話してたんじゃないでしょうね…!?ボスもボスだわ。私がいなきゃ話が進まないなら、さっさと呼べば良かったのに。


「あら〜?だったら貴方の霧の守護者はどこ行ったのかしら?」


「そうだ!あの妖艶な娘はなぜいない!」


「レヴィさん黙っててくださーい。」


「うしししっ。そっちこそ人足りてねーじゃん。お互い様じゃん。」


「うるせーよナイフ野郎。」


「あいつなら、屋敷内にいるはずだぜ。さっきまで一緒だったしな。」


険悪なムードの中でも明るく響く、雨の守護者の声。山本だっけか…相変わらずだなぁ…。ていうかヴァリアー性格悪っ!悪口言ってるみたいだ…。私がイライラしながら話を聞いていると、肩に重みを感じた。なんだろう、何かが乗っかったような…。


「見つけた…。」


『!』


振り返ると、そこには霧の守護者がいた。えーと、クローム髑髏、だっけ。この人は印象強い名前してるから、けっこう覚えてた。チラッと肩を見れば、そこにいたのは梟だった。オッドアイの梟。ふわふわのもこもこだったので触ろうとしたら、バサッと飛んでクローム髑髏の肩に移った。惜しいなぁ。それにしてもさすが霧。気配を感じなかったよ…。


「ごめんね…ボスの命令だから…。」


『え?』


「一緒に来て。」


クローム髑髏は片手で私の手をしっかり握ると、会議室の取っ手をもう片方の手で握った。あ、これマズいかもしれない。このまま入ったらボスに見つかってしまう!消されてしまう!私は最後に抵抗してみたけれど、時すでに遅し、扉は音を立てて開いた。


「やだっ、なまえじゃない!」


「てめぇらぁ…!騙しやがったなぁ!」


「お互い様、なんだろ?」


「ありがとうクローム。」


「極限によくやった!」


クローム髑髏は沢田綱吉に褒められたのが嬉しいのか、顔を赤くして頷くだけだった。
私はといえば、なるべくボスを見ないようにゆっくりとみんなの元へ歩いた。


『なんてゆーか…ごめんなさい?』


「まったくですー。ミー達結構ねばってたのにー。」


「何ノコノコ連れて来られてるんだよ。」


ベルとフランの言葉が胸に突き刺さる。うう…始めから此処にいたなんて言えない…!絶対次は手が出るよこの人達…!絶対次は殺されるよ…!


「これで会議が始められるね。」


沢田綱吉が笑顔で言った。やっぱり会議始まってなかったんだ…!どんだけ"みんなで会議"にこだわってるんだよ!やっぱりこの十代目よくわかんないわ……。

クローム髑髏と雷の守護者が今回の資料を全員に配っていく。ベルやスクアーロはほぼ奪い取るような感じで受け取って(?)いた。相当機嫌悪いや…マジごめん。


「じゃあ始めようか。……あ、その前に、なまえ。」


『…あ、はい。』


「会議が終わったら少し話があるんだけど、いいかな?」


そう言って笑顔を向ける沢田綱吉に、ヴァリアーが牙を向いて、それに守護者達が応戦したのは言うまでもない。会議どころじゃなくなって、ポカンと立っている私の肩に、マーモンがストッと飛び乗った。


「どうしていつも、こんなややこしいことになるのか理解できないよ。」


『みんな会議より、体を動かしたいんだよね。』


「…君、自覚無いのかい?」


『え、なんのこと?』


「…つまり、君は大事にされてるんだよ。ボスが会わせたくないのも、沢田がいるからなのさ。」


『……えーと?』


「呆れるくらい馬鹿だね。だから、君は僕らに愛されてるんだよ。」


『…僕、ら?』


「ムム…!と、とにかくこれからは気をつけなよ。みんな気が短いのは知ってるだろ。」


『はーい。』


マーモンは照れ臭そうに私の肩に座った。私は散々暴れまくってボロボロになった部屋を見回しながら、ヴァリアーのみんなを見てふふっと笑った。










あ、私愛されてる








「沢田…てめぇいつからなまえのこと呼び捨てにしてやがる。」


「知らないの?XANXUS。ほら、呼び捨ての方が女性ってときめくらしいし。」





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オチ…!
無駄に長かったのにオチ…!

黒ツナ嫌いじゃないです…十年後はたまに黒い部分が出ると嬉しいです…。

極限にボンゴレの口調がわからん。それにみんなはツナのことなんて呼んでるんだろう。全て妄想でしたすみません。
あ、ランボを喋らせなかったのは口調がわからないからだよ。あとタイミングがわからなかっただけだよ!

また書き直すかもしれない…

これぞ究極の逆ハー(^O^)



'11.09.05 一部修正



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