あー疲れたぁーなんて(心の中で)呟きながら、静まり返った屋敷を歩く。ここに着いたときに見えた時計で時刻を確認したとき、確かもう2時は過ぎていた。
「(報告はー…明日でいっか。)」
今すぐにでもこのカエルを脱いでそこら辺に放っておきたかったが、後であの王子(仮)がしつこそうなのでイライラしながらも被る。
足は自室へと向かわず、なまえの部屋の前で止まる。お互い一目惚れで恋仲になった二人。任務の帰りはお互いの部屋を訪れるのが習慣…だったが。
「(さすがに寝てますよねー…。)」
音を立てないようにそっとノブを回して扉を開く。部屋の中はやはり真っ暗で静まり返っている。
視線をベッドへと移せば、小さな膨らみが規則正しく上下している。あぁよく寝ているなぁと思いつつ、ベッドサイドへ移動する。
するとどうだろう、なまえはクッションを抱きしめながら寝ているではないか。口も小さくモゴモゴと動いている。
「(夢…見てる…?)」
それにしても、抱き枕が無いと眠れないのは初知りだった。今まで部屋を訪れても起きていることが多かったし、部屋に入った時になまえが起きるというのがパターンだった。
『…………。』
「……ん?」
すーすーと空気の出入りしている口から、小さな声が漏れた。それがとても小さすぎて聞き取れなかったフランは、屈んでなまえの顔に自分の顔を近づける。
『…、…ラン…。』
「!」
『…ン……フ、ラン…。』
ぎゅうううとクッションを抱き直しながら、なまえはフランの名前を呼んだ。それを見たフランは少しだけ目を細めた。
きゅんっ…という音が自分から聞こえてくるとは思わなかった。なまえを初めて見た時だけだと思っていた。
まだクッションを抱きしめているなまえから離れ、頭のカエルを脱いで適当に投げる。トンッとカエルが跳ねている間に、上着も床に落とす。
「さーてと……。」
クッションなんかより本物の方がいいだろ?
任務帰りで張り付く前髪を掻き上げて、再びベッドに近づく。まぁこの可愛さに免じて、今日は一緒に寝るだけにしますけどー…。……あー、朝の反応が楽しみだな。
吊り上がる口角は隠すことなく、フランはなまえのベッドに潜り込むのだった。
とにかく、好き
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今度はかっこいいだけを目指した。結果はこれだ。
変態くさい…!
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