イライラする。そろそろストレスで毛が抜け落ちるんじゃないかと心配になるくらい、スクアーロはイラついていた。原因はわかっている。最近入隊した雲属性のなまえだ。ゴーラ・モスカが壊され、空いていた雲の場所にXANXUSが連れて来たのだ(勧誘とか言っていたが本当のところわからねぇ)。
そして何よりスクアーロが気に入らないのが、なまえがジャッポネーゼであることだった。リング争奪戦はまだ記憶に新しいというのに、うちのボスさんは何を考えているんだと頭を抱えた時もあった。
『スクアーロ…先輩!』
一番聞きたくなかった声がスクアーロの耳に響く。ゔお゙ぉい、あんまり俺に関わるんじゃねぇ。
俺は返事の変わりになまえを睨んでみる。だが相変わらずの笑顔で俺に近づいて来るのだった。
『あの、ちょっといいですか?』
「何の用だぁ。手短に話せよ。」
『はい!じゃあちょっと屈んでください。』
はぁ゙?なんで屈む必要があるんだぁ。そういう目でなまえを見れば、口の両端に自分の両手を当てていた。いわゆる内緒話ポーズだ。
内緒話?と疑問に思いながらも、なまえの口の高さまで体を低くする。
すると、なまえは口に当てていた手で俺の襟を掴み、勢いに任せて引っ張った。お゙?と思った時には体は傾いていて、頭部に痛みが…。
ハッと気づいたときにはなまえは来た道を猛ダッシュで戻っていた。は、ちょっと待てぇ!
『痛かったぁー!スクアーロ先輩の石頭!』
「いきなり頭突きして来るんじゃねぇ!つーか止まれぇぇ!!」
『嫌ですー!』
ドタバタギャーギャーと騒がしく廊下を走る。途中ルッスーリアとすれ違ったが、やたら笑顔でこっち見てやがった。気色悪りぃ。
イライラがピークである俺は、目の前のチビを捕まえるのに本気になって走っていた。
「つ、か、ま、え、たぁっ!!」
『キャー!』
なまえの腕を掴んだ瞬間、本気の悲鳴を上げられた。ちょ、ちょっと待て、俺が悪いみたいじゃねぇかぁ。
腕を捕まれたなまえは、抵抗するつもりが無いのか、大人しくこちらを見ている。あんまり息が上がってないのは、小さいがさすが幹部というところだろうか。…と、今はそんなのどうでもいい!
「てめぇ!なんであんなことしやがったぁ!!」
怒りに任せて怒鳴ると、なまえの肩がビクリと跳ねた。可哀相とかやり過ぎたとかそんな気持ちは今の俺には無い。今までのイライラも全てコイツにぶつけた。
『……だって……。』
ところがコイツは臆することなく、この期に及んで言い訳を言おうとしてる。大した奴だなぁ…。
「あ゙ぁ?」
『だって……だってスクアーロ先輩だけ私に冷たいんですもん!』
「……はぁ。」
そりゃあそうだろう。お前に会うだけで、声を聞くだけでイライラするし、ジャッポネーゼというのも気に入らない。俺はイライラを隠しながら接するほど優しい奴なんかじゃない。だから冷たくして当然だ。
『それでも、私はスクアーロ先輩が好きなんです。』
……ん?コイツは今なんて言った。俺のことが好き…だと…?思わぬ言葉に俺の頭はフリーズした。いや、しない方がおかしい。
『いわゆる、一目惚れってやつですかね…始めて会ったときから惹かれてて……。』
「ゔ、お゙ぉい…。」
『でもどんな風に話したらいいかとか、趣味も誕生日も何もわからないので………せいっ!!』
「ぐほぉっ!」
コ、コイツ……!一目惚れとか言った相手に思いっきりパンチしやがった…!しかも鳩尾(みぞおち)とか確信犯かぁ!?
『まずは一緒に追いかけっこして仲良くなりましょう!』
腹を手で押さえて悶えている俺に、笑顔で去っていくなまえ。上等じゃねぇかぁ…そっちがその気なら、とことん追いかけ回してやらぁ!!
気付くまでダッシュ!
「スクアーロまたなまえに遊ばれてるし。だっせー。」
「気づかないほうが幸せってことも、世の中にはあるからね。」
「なまえったら、一目惚れとか冗談言っちゃって。」
「でも、案外そうでもなさそうだよ。」
「はぁ?マーモン目ぇおかしくなった?」
「違うよベル。二人を見てごらん。」
「そうねぇ。最近二人とも楽しそうよ。スクアーロも最近怖い顔しなくなったみたいだし。」
「ふーん…。まぁ王子には関係ないけど。」
「んもう、ベルちゃんったら。」
「僕らも行こうルッスーリア。巻き込まれたくないしね。」
「ええ。」
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お待たせいたしました!
スクアーロでギャグ甘です…!
ちょっとギャグか甘かどうかわからなくなってしまったのですが……。愛はいっぱい詰め込みました!
リクエストありがとうございました!書き直しいつでも受け付けております!なんなりと!
璃皇様のみお持ち帰りOKです!
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