「は?2回くらい叩いたけどそれが何?今、私と付き合ってるのは恭弥でしょう?なら、関係ないじゃない」

しれっとした様子で僕の幼なじみ兼彼女は答えた。何を聞いたかというと、名字さんのことだ。今日、彼女の頬には冷却シートの様なものが貼ってあった。それを見た途端、僕は閃く。こいつがやったんじゃないかって。耐え切れなくて思わずこいつに聞いたら、さっき…冒頭に至るのだ。

「もしかして、未練でもあるわけ?あるなら勝手にどうぞ?でもあの子、どうなるかわからないから。ふふふ」
「無いよ、未練なんて。でも一応あの子の担任は僕なんだ。それに今愛しているのは君だけだ」

僕の唇は思いもしないことをぺらぺらと話す。こいつのことなんか、愛してるはずなんかない。むしろ大嫌いなのに。こいつは、昔…僕に初めて彼女が出来た時「恭弥が彼女と別れないなら、わたし恭弥の彼女に酷いことするよ」と言われた。その時は冗談だと思った。……のだけど、それから暫くして、僕の彼女は誰かによって階段から突き落とされた。犯人は僕の幼なじみだった。「だから言ったのよ。酷いことするよって」それからもう、僕は彼女を作るのをやめたし、幼なじみのことが大嫌いになった。

初めての彼女と別れてからは、幼なじみが僕の彼女になっていた。1年前くらいまでは付き合っていたのだけど、なんだか幼なじみに好きな人が出来たみたいで、僕はやっと離れることが出来た。そして僕は、配属先の学校で名字さんのことを好きになってしまったのだ。いくら幼なじみに好きな人ができたからって、名字さんと付き合ってることは、知られたくなかったのだが、たまたま寄ったコンビニで幼なじみと偶然出くわしてしまったのだ。あの時「あら?恭弥の助手席に乗ってるのって彼女かしら?随分と年下みたいね。………気に食わないわ」そう言い、僕にキスをした。名字さんが見ていたなんてその時は気がつかなかった。

「恭弥ぁ?あの子と別れないと、前みたいに嫌なこと、するわよ?」

ある日、幼なじみから連絡が来て突然こんなことを言われた。昔の記憶が蘇り、名字さんが傷つくんじゃないかって急に怖くなった。僕が別れを切り出せば、名字さんは泣くってわかってたし、別れたくないと願い請うのもわかってた。僕はそんな姿見たくなかったから、自然消滅を狙った。

だけど名字さんは僕の所に尋ねて来て、結局僕は彼女を泣かせてしまった。あんな顔、見たくなんかなかったのに。

「恭弥?何考えてるの?」
「あ、いいや別に何も」
「ふうん」

ごめんね、名字さん…いや、名前。


end
(110331)うわあ、なんかゴタゴタ(;ω;)
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