先生が応接室から出ていってから、わたしはその場から暫く動けなかった。馬鹿みたいに泣いて泣いて泣いて。泣きすぎて、いつのまにか涙は止まっていたけれど。泣いた後も過呼吸みたいになってしまい、酷く苦しかった。
時計は既に18時を回っていた。わたしは思い足取りで歩き、学校から出る。するとタイミングが良いのか悪いのか、六道先生と出くわしてしまった。思い切り目が合ったのだけど、わたしは直ぐに反らして六道先生の横を通り過ぎようとした。が、それは叶わず、がっしりと腕を捕まれてしまった。
「名字さん…?」
「………っ」
「雲雀くんと何かあったのですか」
「なんにもありません!」
わたしは手を振り払って、おぼつかない足取りで走った。今はそんな説明している場合では、ないのだ。
わたしは家に帰ると、そのまま部屋に行きベッドにダイブした。先生が誰と会ってるかなんて知らないけれど、目を閉じれば先生とあの女の人の姿しか映らない。わたしは携帯をおもむろに開き、受信メールを見返した。
【早く明日になるといいね】【名前に会いたいよ】【獄寺には気をつけて】【言いたいことは我慢しないんだよ】
このメールは全部嘘だったのかな。じわりと浮かび上がる涙を手で拭い取り、ぱたんと携帯を閉じた。
そして、わたしはゆっくりと瞼を下ろした。
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(101218)