明日、先生に問い詰めようと決心した日の放課後。帰ろうとしたら、獄寺先生に捕まった。周りに誰もいなかったら、無視して帰ろうと思ったのだけど、獄寺先生がわたしを呼んだ時は周りに人がいっぱいいたし、しかも獄寺先生はなんだが不機嫌な顔をしているし。断れるはずもなく、わたしは懲りずに獄寺先生と2人きりになっていた。

「獄寺先生、ああいう場で呼ぶのは卑怯です」
「…ああでもしねえと来ないだろ、お前」
「……」

「ただ聞きたいことがあっただけだ。変なことはしねえよ」
「じゃあ早く用件を言ってください」
「なんかあったのか?」
「…別になんにもないです」
「正直に言わねえとキスすんぞ」
「は?さっきと言ってることが違います!」

わたしがそう言うと、獄寺先生はむっとした顔をしてわたしの頬に手を添えた。わたしはその添えられた手をバシッと叩き払いのけたけど。

「……はぁ………彼氏が、キスしてたんです。きれいな女の人と、コンビニで。その、わたしだって獄寺先生としちゃったけど、わたしは嫌だったし。でも彼氏は嫌なそぶりも見せないで、受け入れて、服に女の人の香水の香りをまとわり付けて。そして、何もなかったかのようにわたしに接するんです」

「…そうか…」
「そうです」
「……じゃあ多分、元カノじゃねえの?まさか初めて会う人とキスなんかしないだろ」

先生の元カノか。確かにそうかもしれない。…これはまたわたしとは随分対照的な人だった。でも今の彼女はわたしでしょう?なんで先生は…

「それで泣いてたのか」
「え?」
「自習の時、目赤かっただろ」
「…ああ、はい。そうです」
「…………っ」

獄寺先生はぐっと何かを堪えてわたしの頭を不器用にぐしゃっと乱暴に撫でた。慰めているのかわからないけど、そんな撫で方じゃ、ちょっと痛い。
わたしが獄寺先生にお礼を言おうとした瞬間、ドンドンと生徒指導室のドアが乱暴に叩かれた。

「おーい、獄寺いんだろ〜?ちょっと開けれよ」

ドアの向こうにいるのは、多分体育の山本先生だ。


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