先生は5分くらい車を走らせると、コンビニに車を止めた。どうしたんだろう?と思っていると、先生は「飲み物買い忘れたから買ってくる」と言い、車から降りて行った。別にそこまで気を使ってくれなくてもいいのに、と思っていたけどその優しさがどことなく嬉しかった。
先生が出ていってから15分。コンビニなのに、これはちょっと遅すぎないだろうか。様子を伺おうと、ガラス越しに先生を探すが見当たらない。…見に行くくらい、大丈夫だよね。わたしは車から出て、店内に入った。
「きょ……」
「恭弥は相変わらず変わらないのね」
「君もね」
「ふふ、じゃあまたね」
「ああ」
コンビニには似つかわしくない、男女が話していた。その人たちは、先生と綺麗な女の人。とてもお似合いだった。別に話しているくらいは平気だった。でも、別れ際に先生と女の人とキスをした。嫌がるそぶりも見せず、そのキスを受け入れていた。わたしは、獄寺先生にキスされた時、わたしはあんなに嫌だったのに。先生は違うの?
わたしは急いでコンビニを出て、車に戻る。車に戻ると、コンビニからさっきの女の人が出てきて、わたしをじいっと見て、くすりと笑った。その女の人は自分の車に乗って、どこかに行ってしまった。その車を目で追っていると、いつのまにか先生が戻って来ていた。
「ごめんね、遅くなって」
「へいきです」
「よかった」
「…あの、きょうや」
「ん?」
「急用が出来てしまったので、今日は帰ります。ごめんなさい」
「そっか…じゃあ家まで送るよ」
先生はそう言うと、車を走らせた。直ぐに家の前に着き、わたしは車から降りようとした。その時、先生に名前を呼ばれてわたしは振り返る。
「…や!」
先生にキスされそうになり、わたしは思わず、先生をどんっと押してしまった。わたしは先生に謝り、急ぎ足で家に入った。
先生からは、先生じゃない香水のにおいが、した。
next
(101103)一波乱おきます