「名前ちゃん、首にキスマークついてるよ」

友達の友達に言われて気づいた。わたしは鏡を取り、首筋を確認する。…あ、本当だ。首筋に一つだけキスマークがあった。昨日、先生が首にキスしてたのってコレを付ける為だったのか。言われるまで気づかなかったわたしって…。友達に「いいなあ。なんか愛されてるって感じで。私の彼は付けてくれないの。そういうの得意じゃないみたいで」と言われた。愛されてる?わたしが先生に?そうだったら、嬉しいなあ。

***

放課後、わたしは応接室へと足を進めていた。応接室に向かっている途中、前方から二人の先生が歩いて来た。山本先生と獄寺先生だ。「よお」「よっ」と挨拶をされ、ぺこりと頭を下げ、横を通ろうとするとぱしんと腕を獄寺先生に捕まれた。

「お前、彼氏いたのか?」
「……え?ああ、はい。でもいきなり何で?」
「キスマーク付いてっから」
「あ。…はは…えっとじゃあ、失礼します」

わたしは首を抑えながら、頭をもう一度下げ二人の横を通り過ぎた。目立つなあ、コレ。先生に文句言ってやらないと。応接室の前に着き、ノックをする。「どうぞ」と言われ、中に入り応接室の鍵を閉めた。

「先生、コレ付けるのやめてください」
「…先生じゃなくて恭弥でしょ。コレってキスマークの事?」
「はい」
「…駄目、男除けなんだから」
「おとこよけ?」
「ああ。それ付いてたら、名前が彼氏いるってことくらい直ぐにわかるだろ」
「確かに」

先生がわたしにキスマークを付ける理由が男除けならば、わたしは先生に独占されているということになる。そう理解できると、キスマークを付けられたということが嬉しくて、自然と顔が緩んでいた。

「全く、君は単純だね」

先生はそう言うと、わたしの額を軽く叩いた。


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(100919)
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