先生はわたしに気がついたようで、じいっとこちらを見る。誰もいない教室に二人きり、なんて凄く久しぶりだった。「何、にやけてるの」と先生が口を開く。その言葉を聞いて、わたしは思わず顔を抑える。

「…なんでもないです」
「ねえ、君…煙草臭いんだけど」
「あー、わたしは吸ってないですよ?」
「知ってるけど」
「えっと、じゃあ帰ります」
「……だめ」

先生はわたしの腕を掴んだ。わたしが驚いたような顔をすると、先生はため息を吐き「ごめん」と一言謝った。すると、ぎゅうとわたしの体を抱き寄せたのだ。

「もう無理…。君に触れないことがこんなにも辛いなんて思わなかった」

先生の吐息が耳にかかり、ぞわっとした。まさか、先生の方からわたしを求めてくれるなんて思いもしなかった。先生はわたしを抱きしめ終えると「応接室に行こう」と言われて、わたしはこくりと頷く。二人で応接室に入ると、先生は直ぐに応接室の鍵を閉めた。「名前」と先生がわたしの名前を呼ぶと、わたしの唇にキスをする。わたしが酸欠になりそうなくらい、長いキスをした後、先生は再びわたしを抱きしめる。

「本当は君が求めてくれるまで、僕は絶対相手にしない予定だったけど、まさか僕の方が先だとはね。自分でも驚きだよ」
「3ヶ月の約束のなのに、10日しか守れてないですよね」
「だね。約束を守れないなんて大人げない」
「大丈夫ですよ。わたしもずうっと先生に会いたかったですから」

そう言うと、先生はふっと笑った。そのあと、先生に言われたことはわたしの成績が学年で3位だったことと、獄寺先生のことだ。「あいつの匂いが君に付いてるなんて不愉快だから、出来るだけ会わないで。中学の時から好きじゃないんだ」と言われた。その言葉を聞いて、本当に知り合いなんだと実感した。


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(100914)
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