中間テスト3日前。わたしは応接室で先生と勉強をしていた。古典ではなく英語を。先生はどんな教科もそつなく熟せる。わからない部分を聞くと丁寧に教えてくれるのだが、問題を出されそれを間違えると怒るのでちょっと怖い。

「ここは不定詞を使うんだよ」
「……はい」
「で、こうする」
「はい」

……先生の顔が近い。最近、ずっと先生に触れていないな。勉強勉強だったし。その前も、なかなか会えなかったから。…でも今は勉強しなきゃ!ぶんぶんと首を横に振り、気持ちを切り替えた。


***

「はい、今日は終わり。家でも少し勉強するんだよ」
「はい!」

時計を見ると時刻は19時を回っていた。外はもう少しで完璧に暗くなるというところだろうか。わたしはカバンを持ち立ち上がり応接室を後にしようとする。

「名前、家まで送る。……校舎裏で待ってて」
「………は、はいっ」

勉強勉強で気持ちが少し沈んでいたわたしは、その一言で舞い上がってしまう程に高揚した。応接室を出て、靴を履き校舎裏へと急ぐ。校舎裏へ着くと、車に乗った先生がすでにいた。わたしは車のドアを開けて、助手席に乗る。良く考えてみると、先生の車に乗るなんて初めてだ。運転している姿、かっこいいなあ。と、思いながら先生を見ていると「あんまり見ないでよ」と、ちょっと照れ臭そうに言った。


「――あ、ここです。…ありがとうございました」
「どう致しまして」
「じゃあ…」
「ちょっと待って」
「…せん……んっ…ふう…っ」

先生は今まで触れなかった分を補うようにわたしにキスをした。深くて甘いキス。後頭部に手を回されて、より深く繋がる。

「…次はテストが全部返って来て、条件を満たしていたら、ね」

頭がぽうっとする中、わたしは一度だけ頷いた。


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