妹属性な女の子


俺の彼女はすごくかわいくて、あ、顔がとかじゃなくて中身がね!?勿論顔も可愛いんだけどね。それに加えて、同い年なのに庇護欲を駆り立てられるって言うのかな?何処か妹みたいで、だから宍戸さんなんかは凄く可愛がってるんだけど。そういう性格だから男子に凄くモテて、彼女にとって自分が大切な人で本当に良いのかなっていつも自信が無くなるんだ。

『長太郎くん?』

「は、え?」

『ふふ。どうしたの?上の空だよ』

「そんなことないよ!?」

『あ、もしかして……幾つチョコ貰えたかって考えてた?』

「そんなこと考えてないよ」

『あ、違った〜』

「確かにお返しどうしようかなとは思うけど、宙輝から貰えれば俺はそれで…」

『あっ!長太郎くん、見て!綺麗!』

「宙輝!?急に走ったら転けるし危ないよ!」

段々と語尾が小さくなる彼の言葉ははたして彼女に届いていたのか否か。何かを見つけ走り出してしまった彼女を諭すように声を張ってみたものの、彼女は止まる様子もなく。慌てて後を追いかけ、横に立てば彼女は笑った。

『見て長太郎くん!』

「わあ、綺麗だね」

『でしょー?この景色が見えたから走っちゃった!』

「でも急に走ったら駄目だよ。転ぶかもしれないでしょ?」

『ごめんなさい…』

「本当に思ってる?」

『思ってるよ!』

「なら、よし」

『ふふ。長太郎くんってば過保護なお兄ちゃんみたい』

「えっ。俺、宙輝にそんな風に思われてるの…?」

『うん?たまに思うよ?でも私のとってもとっても大事な人!』

「そっか、ありがとう」

不安げに聞いた問の答えに、ホッと胸を撫で下ろすような、安堵にも似たため息を溢した彼。こういった質問を投げかけてしまう辺り、如何に彼が不安を抱えているのかが分かるが第三者からしてみれば皆、相思相愛だと思うことだろう。

『今年は去年よりたくさん貰った?』

「どうだろう、たぶん?」

『流石私の長太郎くん!モテるなぁ』

「そんなことはないよ。それに宙輝から貰えることが一番嬉しいしね」

『ファンが聞いたら泣いちゃうね。でも嬉しい!』

にこにこと、きらきらと、ふわりと、笑う彼女はそれはそれは嬉しそうで。演技などではなく純粋に喜んでいるのだと分かる。そんな彼女に嬉しさを覚えつつも、やはり先程から何時まで経っても差し出されることのないそれが気になるのか、彼は伺うように、おずおずと声を掛けた。

「ねえ宙輝?」

『なあにー?』

「今年は、ないの…?えっと、その、毎年宙輝が俺の為に選んでくれたり買ってくれたりするのが凄く嬉しくて楽しみにしてたから、」

『おんなじだね!私も、長太郎くんの為に選んだり作ったりするの楽しいんだよ』

「そっか、そうなんだ、嬉しいなぁ」

『だけどね、今年は手元にないの』

「えっ、」

『手元にはないけど、長太郎くんの手元にはあるよ』

「??」

丸で意味が分からないとでも言いたげな表情で、首を傾げ彼女を見やる彼とくすくすと声を出し笑う彼女。それは悪戯心なのかなんなのか。いい加減、彼が不憫に見えてくるのは気のせいだろうか。

『私からのプレゼント、その中なんだ』

「えっ、これ…?」

『うん!普通に渡すだけじゃつまらないかと思って』

「ええーっ。見つけられるかな…」

その中、と指を指されたのは今日、2月14日に彼が渡されたであろうプレゼントが詰まりに詰まった紙袋で。名が記してあるものも有れば無いものもある。当然"普通に渡すのはつまらない"と言っていることから彼女の名は記載されていないだろう。しかも袋は1つではない。つまり彼女は幾つもあるプレゼントの中から自分のを見つけろと言っているのだ。普通ならば諦めてしまうところであるが彼はそれが嫌なのか、それとも意地なのか。徐に、けれど丁寧に、1つ1つ袋の中身を確認していった。
そうした時間が流れ、ただ彼女は黙って見つめていた。敢えてヒントも何も出さないのは彼ならば見つけてくれる。と言う彼女のエゴな期待だ。

「これ、かな…?」

『………正解!すごい!』

「良かった、」

『どうしてわかったの?』

「半分は勘で半分は宙輝が毎年くれてたプレゼントを想像して、かな」

『流石長太郎くんだね!改めて、誕生日おめでとう。大好きだよ!』

「ちょっと、ひやひやしたけどね。ありがとう、俺だって大好きだよ」

『ふふ。わからなくても怒ったりしないのにー』

「何となく俺が嫌なんだ。さあ風邪を引く前に帰ろう?」

『そういうところも大好き!』

言葉と共に堪らずぎゅっと抱き付く彼女に一瞬驚きつつも優しく抱き締めてやれば「温かいね」なんて呑気な事を言いながら彼女は彼を見上げ笑った。それが堪らなくかわいくて、庇護欲を駆り立てられてしまったのは彼だけの秘密で、代わりに「そうだね」なんて言いながら彼もまた、優しく笑った。

妹属性な女の子」

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6弾〜!妹属性な子でした!
こういう女の子は偏見だと解っているけどどうもふわふわしている、というイメージがあります(笑)
身長差も相まって彼女なんだけど時々妹に見えてたらいいな、なんて…!


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