『ふぁぁ眠い…』
「朝から大きなあくびだね」
『わ、精市!見てたの!?』
「うん。アホ面だったよ」
『うわー、とても恥ずかしい…』
「ふふ、そんな顔も可愛いけどね」
『辞めっ、更に恥ずかしくなるでしょ!』
「でもそうやって無防備な姿を見せてくれるのは嬉しいなぁ」
『なんで!?』
「だってそれだけ俺を信頼してるって事でしょ?」
優しげな瞳で、少しばかり、意地の悪い笑みで、そう告げる彼に彼女の顔は更に赤く染まった。何となく、素直に認めるのが嫌でそんな事ない。と呟けばそれすらも理解していたかのように笑う幸村になまえは勝てないと理解したのか、観念し、それでも声を大にはせずにぽつり、悪いのか、と呟いた。
「全然。嬉しいよ」
『精市の前だけだから。あ、あとともだち』
「それはちょっと悔しいかも。でもともだちより先に挨拶出来るのは俺だし、許してあげる」
『多分それはこの先も変わらないと思うよ』
「勿論そのつもりだよ」
『流石です』
不確かな未来を然も確定のような言い回しで話す彼に嬉しさと恥ずかしさと驚きで思わず笑えば彼も笑った。いや、微笑んだ、のが正しいだろう。邪険のないその笑顔が彼女はとても好きで。明日も一番におはよう。と挨拶をしようと一人、思った。