悠一は凄い。実力だけでなくあの人は間違いなく司令塔になれる程の力がある。あの城戸さんですらもしのげるほどの。でも、大規模侵攻、いや、三雲くんのあの一件があってから元気がない。元気があるように振る舞ってるけど、私には解る。私のサイドエフェクトは心を読むことだから。でも、それを使わなくても悠一の事なら解る。たぶん……
『悠一』
「あっれー?なまえちゃんじゃーん。こんな時間に訪ねてくるなんてもしかして、夜這い?」
『駄目?』
「……どうした?何かあったの?」
『私の命より大切だと思える人が最近落ち込んでるみたいなの』
「なるほど。サイドエフェクトでお見通しってわけか」
『それもあるけど、それを使わなくても悠一の事なら解るよ』
「く〜っ、嬉しいこと言ってくれるねぇなまえ」
『もう!茶化さないのー。三雲くんの件は悠一のせいじゃないんだよ?』
「そうかもね」
『三雲くんだってそんなこと思ってないし悠一の事嫌いな三輪くんだって悠一が悪いと思ってないよ』
「そっか。でもおれには未来が見える。それなのに、」
拳を握り視線を落とした迅。そんな弱々しい姿を見れるのはきっと彼女ぐらいだろう。故に1つ笑みを溢しなまえは彼の顔をそっと包み込むとその瞳に彼を、自分を映した。
『ねえ悠一?未来は一人じゃ変えられない。色んな人が色んな思いで作った小さなきっかけが集まって、次第に大きくなって、初めて未来が変わる。そう教えてくれたのは悠一だよ?』
「そう言えばそうだったね」
『なら、何時までもくよくよしない!貴方の元気がないと可愛い後輩たちが悲しむよ?三雲くんなんかきっと自分が弱いせいで〜ってまた落ち込んじゃうよ』
「ぷっ。今の似てる。確かにあいつならあり得る」
『でしょ?だから貴方は貴方が今やるべき事をやらないと』
「やるべき事?」
『うん。悠一がやるべき事は後悔する事でも悩む事でもないよ』
「そうだなぁ、なら、」
何かを考えるように一度天を仰ぎ、そして此方を見やった彼の瞳には先程までの弱々しさはなく。代わりに何か企んでいるような、そんな顔をしていた。
「おれが今やるべき事は取り敢えず、命よりも大切だと思える人を悲しませちゃったみたいだから可愛がる事!」
『なっ!』
「おいおい先に誘ってきたのはそっちですよなまえさん〜?」
『や、あの、えっと、あれは、その、』
「駄目?」
『うっ、断れないの知ってるくせに…意地悪』
「あはは、冗談だよ冗談!任務終わりで疲れてるなまえに無理はさせられないよ」
『………悠一がそれを望むならいいよ。元々一緒に寝ようとは思ってたし…』
ごにょごにょと後方になるに連れて声が小さくなった彼女の顔は暗がり故にあまり見えないが恐らく赤い。また、そんな彼女の反応を見た彼の顔も、だ。
「おまっ、そんな可愛い反応は反則でしょ、」
『えっ、』
それはほんの一瞬。何が起こったのかを彼女の頭が理解した時には既に彼のベッドの上で、彼の腕の中にいた。
「よし、寝ようか!」
『本当に寝るの!?』
「大胆だね〜。襲われたいの?」
『ね、寝ます!!』
「ははっ、素直な事で。おやすみなまえ」
『おやすみ悠一。大好きだよ』
「おれもだよ。おまえは誰にも渡さない」
効果音を付けるとしたらぎゅう。っと言う音だろう。再度彼女を確認するようにそれぐらいにきつく抱き締め、キスを1つ落とし、そして笑い合った二人はそのまま眠りに就いたのだった。
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お初迅さんです!
重い腰をあげて今更ワートリを見始めたわけですが、迅さんイケメンである。
うずうずした結果やらかしました(笑)